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失意の木原龍一の背中に、三浦璃来が手をあてて…GPファイナルで“対照的だった”りくりゅうそれぞれの思い「最後までやりきれたかな、って」 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAsami Enomoto

posted2025/12/07 17:02

失意の木原龍一の背中に、三浦璃来が手をあてて…GPファイナルで“対照的だった”りくりゅうそれぞれの思い「最後までやりきれたかな、って」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

GPファイナルで優勝を果たした三浦璃来と木原龍一

 ミスがあった上でのこれだけの高得点については「なんでですかね」と考えつつ、答えた。

「こうした点数をいただけたっていうのはほんとうにうれしかったんですけど、しっかりつなぎであったり、細かいことをしっかり確認してきましたし、ジャンプが抜けてしまってもしっかりレベルを獲ることを意識してやってきたので、そういったところが点数に影響したのかなと思います」

 それはたしかな歩みの証明だった。

原点を取り戻した今シーズン

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 2022年北京五輪に出場した翌シーズンの2022-2023シーズンは出場したすべての大会で優勝。その中には世界選手権、グランプリファイナル、四大陸選手権が含まれ、この3大会を制したことで日本フィギュアスケート初の年間グランドスラムを達成、記録尽くしのシーズンを過ごした。

 ただその後は苦しい時期も長かった。2023-2024シーズンは木原の腰椎分離症の影響でグランプリシリーズと全日本選手権は欠場、復帰は四大陸選手権を待たなければならなかった。

 2024-2025シーズンにも三浦の左肩亜脱臼など2人のコンディション面が影響を及ぼした。加えて、思うような演技が試合でできないことに、試合後いらだちをみせる場面も見られた。

 抜け出す契機は昨シーズンの世界選手権だった。「楽しむ」という2人の原点を忘れていたことに気づき、意識して楽しむことに努めた。結果、世界選手権で2度目の優勝を果たしたのである。

 原点を取り戻した今シーズンは、グランプリシリーズ2戦ともに優勝するなど、順調に推移してきた。

 順位だけではない。得点からみても昨シーズンより高いレベルにある。それはベースの向上を示している。そして、1戦ごとに課題を見出し、精度を上げるとともにより高いレベルを目指して積み重ねてきた土台が発揮されている証でもある。3連続ジャンプでの木原のミス、そして終盤でもスロージャンプでの三浦の着氷の乱れがありながら自己ベストをマークしたのは、木原の言う「細かいところ」に取り組んできたからにほかならない。

右腕を突き上げた三浦の心境

 木原と対照的に、演技が終わった瞬間を木原の頭上に掲げられた状態で迎えた三浦は、右腕を突き上げていた。

 三浦はそのときの心境を明かす。

「(北京)オリンピック以降、完璧なノーミスっていうのが出ていなかったので、今日もちょこちょこミスはあったんですけど、ストップ&ゴーなく最後までやりきれたかな、っていうガッツポーズでした」

【次ページ】 ペアを結成した思い出のリンクで

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