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甲子園の風BACK NUMBER
「中途半端な公立校はどうしても…」なぜいま大阪で“進学校”の野球部が強い?…“国公立大合格80人超”の公立校で野球部員が60人を超えるワケ
posted2025/11/26 11:44
今夏は3学年で部員60人を超えていたという八尾高校。阪大などの旧帝大をはじめ国立大に80人以上の合格者を出す公立の進学校だ
text by

沢井史Fumi Sawai
photograph by
Fumi Sawai
高校野球屈指の激戦区として知られる大阪府。大阪桐蔭や履正社といった強豪私学が覇を競うが、そんな地域でこの秋「ある異変」が起こった。秋季大会のベスト16に公立校の進学校が3校も食い込んだのだ。まさかの事態のウラに隠された「意外な理由」とは何だったのか。《NumberWebレポート全2回の2回目/最初から読む》
実はこの秋に限らず、近年大阪の高校野球界では前編でも触れた三国丘や今夏の府大会でベスト8まで勝ち上がった豊中など、公立のいわゆる進学校が勝ち残る傾向が高くなっている。
公立進学校の躍進のウラに…私学無償化の影響
それは2024年度から段階的に始まった大阪府内の私学高校の授業料が完全免除となる「私学無償化」の影響が大きい。
17年夏に府大会決勝で大阪桐蔭を最後まで追い詰め準優勝した府立の大冠高校の東山宏司監督は、この流れについて以前こんな話をしていた。
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「私学が無償化となると、親からすると高校で野球を続けさせようとなれば公立高校よりも施設の整った私学に行かせたいとなるでしょう。勉強もしっかりやりたいなら公立の進学校へ、となる。ウチのような中途半端な公立高校はどうしても選択肢としては低くなってしまう。だから以前に比べて生徒が集まりにくくなったんですよ」
筆者が6月に府立の工業高校を取材した際も、指導者が工業高校や商業高校を選ぶ中学生が年々減っている現状を訴えていた。

