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「リング上に肉が焼ける匂いが立ち込めて…」デビュー40周年の“暴走女王”が語る「走馬灯を見た」瞬間…「もう勝敗なんてどうでもよかった」
posted2025/11/08 11:02
井上京子(左)とのデスマッチで「走馬灯を見た」という堀田祐美子(右)。厳しいレスラー人生の中ではさまざまな大事件があった
text by

“Show”大谷泰顕“Show”Yasuyuki Ohtani
photograph by
Sankei Shimbun
全日本女子プロレスのすべてを知り、現在も現役プロレスラーとしてリングに立ち続ける堀田祐美子。40年間のレスラー人生の中では、様々な「生きるか死ぬか」の体験があったという。「暴走女王」が振り返る、衝撃エピソードの数々とは?《NumberWebインタビュー全3回の3回目/最初から読む》
今年でデビュー40周年を迎えた“暴走女王”堀田祐美子は、過去に走馬灯を見たことが3回あるという。
もちろん過酷な全盛期の全女のリングを経験したレスラーである。自身の身体が追い込まれ、「死」を意識したケースももちろんある。だが、最も記憶に残る走馬灯は、意外な時に目の前に現れた。
それは、2014年12月23日に川崎市体育館で行われた試合でのことだ。この日、堀田は井上京子との電流爆破デスマッチを闘う予定だった。
堀田が電流爆破デスマッチを拒んだワケは…?
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実は、堀田は最後までこの電流爆破デスマッチを拒んでいた。同じ「デスマッチ」と名がついていても、金網デスマッチとは大きく違った認識を持っていたからだ。
「金網デスマッチはルール上、エスケープでの勝利や、リング内でのダウン、ギブアップなど選択肢にもいくつか幅が出て、それが『闘い』になるでしょう。でも、それが電流爆破となると誰かが爆破を受けることが“見せ場”になってしまう。私たちはあくまでも『勝敗』を争っているのだから、勝ち負け以上の関心事があるって本来はおかしいんですよ」
堀田の言い分は至極、当たり前の話である。当然、その試合形式に賛同することができなかった。
「でも、ひとつだけ引っかかっていたことがあって。もし、このまま私が拒み続けた場合、『結局、堀田は逃げた』となってしまう。それはやっぱり本意ではないし、悩みましたね」
結局、堀田は電流爆破のリングに上がることになった。

