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悪のプロレスラーがテレビで大活躍…何が上谷沙弥を“変えた”のか?「中野たむ。それしかない」“ヒールだけどいい人”説には反論「意外と怖いよ」
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/10/31 17:40
スターダムの赤いベルトと新日本プロレスのSTRONG女子王座のベルトを保持する上谷沙弥。東京ドームでの興行をぶち上げ、プロレス大賞MVP獲りに走る
「上谷沙弥は“いい人”なのか?」本人の答えは…
上谷は話を続ける。
「東京ドームの満員だと(最大)5万人でしょう。何万人の人がスターダムを見に東京ドームに集まるって考えたら、すごい。東京ドームの先は、世の中にプロレスがもっと知られていて、もっとプロレスが好きな人が増えている。みんながスターダムに夢中になっている。そんな未来が待っているから、そこを目指して走りたいな。近い将来、1年後、長くても現実的に1年半でやり遂げたい」
上谷は新日本プロレスの「1.4」東京ドーム大会に出場が決まっている。
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「新日本プロレスの興行とはいえ、目標としている場所に立てる。誰でも立てる場所ではないから、ワクワクしている。『1.4』の景色を味わったら、スターダムでの興行をかなえたいという気持ちがもっと強くなるはず。新日本プロレスのファンを虜にする自信はある。新日本のお客さんさえ、沙弥様が奪っちゃう。今の勢いは自分でも感じている。なにごとにも流行が存在するし、それが長いか短いかは、ものごとによって違う。今は沙弥様が歴史を動かしている。敗者引退マッチにしろ、テレビの生中継にしろ、時代が動いてる。このチャンスを逃したら、30年先になっちゃうかもしれない」
上谷に「変わったか」という質問を直球でぶつけた。
「めちゃくちゃ変わったよ。ヒールになったときは、みんなが想像している昭和のヒールレスラーではなく、美しさもあって品のある悪の女王様のようなレスラーになりたいと思っていた。その方向性は変わってない。ただ、想像していた以上のことが起きているな、と思っているよ。メディアでは『ヒールだけどいい人』なんて言われている。そうするつもりはなかったけれど、『千鳥の鬼レンチャン』(フジ)の極限状態で出ちゃっただけ」
さらに踏み込んで「実際のところ、上谷沙弥は“いい人”なの?」と聞いてみた。
「さあ? どうかな。いい人じゃないと思うよ。意外と気強いし。フワフワして見えるかもしれないけど。そうじゃないと赤いベルトをこんなにも持っていられないよ。沙弥様は意外と怖いよ」



