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岩谷麻優がイヨ・スカイに抱きついて…マリーゴールドで“奇跡の再会”「濃密な26分間」名勝負のウラ側「WWEも私のホームだし、ここも私のホーム」
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原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/10/30 17:06
試合後、ポーズを取る岩谷麻優とイヨ・スカイ。伝説のタッグチーム・サンダーロック復活か。10月26日、両国国技館
26分28秒の激闘「あんなに顔面蹴り抜く人います?」
メインイベントのゴングが鳴ったのは18時12分だった。興行が始まってすでに3時間半以上が過ぎていた。ビクトリア弓月や青野未来といった新王者が誕生していた。
イヨと岩谷はリングの中央で静かに握手を交わして試合に臨んだ。
「懐かしい部分もある。ただ速いだけじゃない、絶妙の間……」を本部席の小川は感じ取っていた。
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そこには過去の歴史が詰め込まれていた。同時に7年半の歳月の中でそれぞれに変化した女たちのプライドと強さも感じることができた。
ジャーマンスープレックスもドラゴンスープレックスも、トペやドロップキックといった空中戦の応酬も、両者の“自然”がなせる業だった。
岩谷は「ゾンビvs.ゾンビの対決」と言っていたが、互いにこれでもかと仕掛けても、どちらも立ち上がってきた。
「マリーゴールドって創設して2年目なんで私には関係ない団体なんですけど、全然、関係なくなかったっていうか、家族、ホームみたいな雰囲気を感じました。WWEも私のホームだし、ここも私の祖国であり、ホームなんだなって思いました。心が温かくなりましたね。あんなに顔面蹴り抜く人います? これかあと思って懐かしい気持ちになりました」
最後は、イヨのムーンサルトプレス。26分28秒、岩谷は3カウントを聞いてしまった。
「アウェイだけど、アウェイじゃないから、家族だから」
イヨがマイクを握った。
「私をこのマリーゴールドのリングに呼んでくれて、ありがとうございます。誰よりもお礼を言いたいのは……麻優ありがとう。麻優がここにいるから、私もここにいるんだよ」
岩谷がイヨを遮った。
「イヨさん、スーパースターとか、WWEのトップだとか、麻優には知ったこっちゃない。麻優にとってイヨさんは尊敬するただのお姉ちゃん。妹に勝ったぐらいで、そんな調子乗ってカッコいいマイクなんかしないでください。ここは、ここは岩谷麻優のホームだ。イヨさんは、アウェイだ。なのに、なんで、なんでみんなイヨさん、イヨさんって……。ありがとうございます。今日でイヨさんとの戦いは私が負け越した。負け越したけれど、今日で終わりにしたくない。イヨさんとの物語はこれからも、きっと切れない縁だと思ってます。今日の戦いでイヨさんの強さはもう十分にわかったから、次があるなら(タッグの)サンダーロックとして、この時代に、サンダーロックの歴史を新たに作っていきたい、そう思ってます。ここのリングは、アウェイだけど、アウェイじゃないから、家族だから、いつでもお待ちしてます」
岩谷のイヨへの熱い思いが感じ取れた。




