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ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
ボクシングの悲劇“死亡事故”はなぜ起きるのか?「致死率50%」急性硬膜下血腫を専門医が解説「急激な脱水…脳にリスク」「“2回目の頭部外傷”が危険」
posted2025/10/19 17:00
日本のボクシング界で相次ぐリング事故。スポーツにおける頭部外傷に詳しい脳神経外科医に要因を聞いた
text by

渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
Getty Images
8月、浦川大将選手、神足茂利選手という2人のボクサーが同じ興行で命を落とすという異例の事態にボクシング界は揺れた。あれから2カ月。業界ではいまだ途上ながら再発防止に向けた動きが徐々に具体化している。なぜリング事故は起きるのか。そしてボクシング界はこの危機にどう向き合おうとしているのだろうか。頭部外傷の専門家や、関係者に話を聞いた。(全2回の1回目/後編へ)
なぜ、短期間に3人ものボクサーが…
事故が起きたのは8月2日、後楽園ホールで開催された興行だった。日本ライト級4位の浦川選手はライト級8回戦に出場。試合を優位に進めたものの後半追い上げられて、8回2分12秒TKO負け。意識を失った状態で救急搬送され開頭手術を受けたが、9日に帰らぬ人となった。
神足選手は浦川選手の2試合後、その日のメインイベントである東洋太平洋スーパーフェザー級タイトルマッチにチャレンジャーとして挑み、接戦の末に惜しくもドローでベルトに届かず。試合後の医務室で意識を失い、浦川選手と同じように救急搬送されて開頭手術を受けたものの8日、天に召された。
国内では2023年12月の日本バンタム級タイトルマッチで敗れた穴口一輝選手が亡くなっている。3選手とも、要因は急性硬膜下血腫だった。なぜ、短い期間に3人ものボクサーが命を落とさなければならなかったのか。
「致死率は約50%」急性硬膜下血腫を専門医が解説
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まずは専門家に話を伺いたい。野地雅人医師(のじ脳神経外科・しびれクリニック院長/神奈川県厚木市)はアマチュアの日本ボクシング連盟医事委員会関東ブロック委員長やプロの日本ボクシングコミッション登録ドクターを務め、文部科学省の「体育活動中の事故防止に関する調査研究」研究班委員として活躍した経験を持つ。スポーツにおける頭部外傷に詳しい野地医師に、急性硬膜下血腫が起きるメカニズムを聞いた。
