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衰えたとしても…田中将大の日米200勝は“最後の偉業”かもしれない「大谷翔平81勝、山本由伸89勝、菅野智之146勝、前田健太でも165勝」

posted2025/10/08 17:00

 
衰えたとしても…田中将大の日米200勝は“最後の偉業”かもしれない「大谷翔平81勝、山本由伸89勝、菅野智之146勝、前田健太でも165勝」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

日米通算200勝を達成した田中将大

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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 田中将大が、史上4人目の「日米通算200勝」を達成した。幼馴染でチームメートである坂本勇人が田中をハグし、名球会ブレザーを着せる光景もあったが――この記録はNPBでもMLBでも「公式記録」ではない。ただMLBが公式SNSなどで祝福のメッセージを発信するなど、日米で認知が進んでいる。

じつはスゴかった「2011年の田中将大」

 多くの野球ファンは2013年、楽天での田中将大の空前の活躍を記憶にとどめているはずだ。

28試24勝0敗8完投2完封1S212回
168安6本32球183振、防御率1.27

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 まさに「平成最高の投球」である。

 1961年の西鉄・稲尾和久の「42勝」や、68年阪神・江夏豊の「400奪三振」などの「昭和の大記録」に肩を並べる大記録だと言える。今に至る「最後の20勝」でもあった。球数は2981球、1イニング当たり14.1球。この数値は15を割れば「優秀」とされる。無駄球の少ない極めて効率的な投球だったのだ。

 実は、投球内容だけなら2011年の方が凄かった。

27試19勝5敗14完投6完封226.1回
171安8本27球241振、防御率1.27

 球数は3132球、1イニング当たり13.8球。現代野球ではこの数字も抜群だ。

 パ・リーグには日本ハムの絶対的なエースのダルビッシュ有がいたために、田中は中々トップに立てなかった。この11年は、18勝のダルビッシュを抑えて初めて沢村賞をとった。翌年からダルビッシュがMLBに挑戦し、田中は日本のエースになった。

ヤンキースで6年連続2ケタ勝利の偉業

 2013年オフ、空前の成績を残した田中は、ポスティングシステムによってヤンキースに移籍。2014年のヤンキースでは40歳のイチローが右翼を守り、39歳の黒田博樹はチーム最多の199回を投げ11勝を挙げていた。田中は黒田に次ぐ136.1回を投げ13勝。ヤンキースはこの年、ア・リーグ東地区2位に終わったが先発陣は日本人投手2人で持っていた。

 この年7月、田中は右ひじ靱帯を部分断裂した。普通であればトミー・ジョン手術をするところを田中は、自らの血液から抽出した多血小板血漿を患部に注射する「PRP療法」を選択し、わずか75日で復帰している。PRP療法がここまで成功した投手は田中だけだろう。

 NPB時代の田中は、抜群の制球力に加え、150km/h台半ばのフォーシーム、140km/h台のフォーク、スライダー、カットボールを駆使していた。走者が溜まるなどピンチを迎えると、ギアチェンジして剛速球を投げ込んだ。

【次ページ】 楽天復帰当初は球速も150キロ台だった

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