現役東大生が“井上尚弥”を研究？ パリ五輪監督も絶賛…元テニス部の秀才が後楽園ホールで衝撃KO「“いまだ無敗”東大理系ボクサーの意外な経歴」 

　関東大学リーグ・トーナメントの表彰式では、全階級トーナメントを合わせた3部の最優秀選手賞を受賞。スポットライトが当たる後楽園ホールのリングで表彰状を受け取ると、満面の笑みを浮かべた。リング下からはパリ五輪で日本代表コーチを務め、1部リーグの団体戦で2連覇を達成した駒澤大の小山田裕二監督にも祝福された。

「東京都の練習会や合宿で指導してもらったことがあり、お世話になっていたんです。トーナメントに向けての練習メニューの組み立て方なども相談に乗ってもらいました。賞状を受け取ったときに『伊藤くん、おめでとう』と言ってもらえて、あれはうれしかったなあ。1部、2部と一緒の表彰式だったので、同じリングにいた選手の中から将来の世界チャンピオンが出る可能性もありますし、良い思い出になりました」

東大ボクシング部の仲間たちと談笑する伊藤朝樹。今季から主将に就任した　©︎Nanae Suzuki

井上尚弥の研究×テニスの法則

　これで大学生活が終わるわけではない。入学して3年目を迎えている。1年間の休学をはさんでいるため、学年は2年生。ボクシングの伸びしろはたっぷりある。

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　持ち味の一つは、パンチの強さだ。トーナメント初戦の東海大戦でも鋭い右フックでダウンを奪っており、一発の強さは目を引く。アマチュア戦績は7戦7勝（6KO・RSC）。2戦目以降は立教大戦の一撃KOを含め、すべてレフェリーストップ勝ち。体型は176cmのすらっとした細身。大学ボクシングのライト級でも体の線は細い。パンチ力の源は、筋力だけではない。暇さえあれば、スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥（大橋）、同じサウスポーの3階級制覇王者の中谷潤人ら打ち方や動きを動画でチェックし、参考にしている。

　そして、何よりも中高時代に打ち込んだ硬式テニスで培ったものが、ボクシングに生きているようだ。

「僕の予想ですが、ラケットを振る動きとパンチの腰を使う動きが似ているのかなって。テニスでは股関節を回すようにして、スイングするんです。僕はそのスピードとパワーには少し自信がありました」

テニスの経験をボクシングに転用したと話す東大・伊藤朝樹（2年）©︎Nanae Suzuki

　コートではあまり相手を打ち負かせなかったが、その腰の回転力はリングで有効活用できている。

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