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全女の元アイドルレスラーが“がんを宣告された日”「頭が真っ白になって…」シングルマザーで姉妹を子育て、45歳で初孫も…ジャンボ堀(63歳)の今
text by

伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byShiro Miyake
posted2025/10/03 11:03
インタビューに答える現在のジャンボ堀さん
がんと診断された日「頭が真っ白になっちゃって…」
――生保レディだった40歳前後で、ご病気されたんですよね。
堀 そうです。エコー検査で再検査になったんですよ。婦人科へ行くと、大学病院で調べることを薦められて、そこで「子宮頚がん」と診断された。もう、頭が真っ白になっちゃって……。子どもがいるし、「がん」という言葉を言われたのは初めてだし、周りでなった子もいなかったし、家族にも(がん経験者が)いない。親には言えないなぁと思って、泣きながら後輩たちに連絡したんですね。まずは、(ダイナマイト・ギャルズのパートナーである)大森(ゆかり)。風間(ルミ)、ハーレー(斉藤)、(立野)記代も団結してくれて、大仁田(厚)さんの議員秘書だった中牧(昭二)さんとも親しかったんで、「申し訳ないけど、病院を紹介してもらいたいんだよね」って話をしたら、すぐに動いてくれて、御茶ノ水の順天堂医院で診てもらえることになった。
――妻ががん告知をされたとき、ご主人はなんと?
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堀 そういう性格だから、店の売り上げは落ちてますよね。私には確実な収入があったけど、「これからは当てにされても困るよ。病気になって、働けなくなるかもしれないんだから」と言ったら、「(治療費は堀さん側の)親に言えばいいじゃん」って返ってきた。そのひとことで、「あー、もう無理だな」って。真っ先に動いてくれたのはプロレス時代の仲間だったし、だんなに頼らなくてもいいんだなって冷めてしまって、離婚を(切りだした)。
「子どもたちのために、がんばろう」
――2人の娘さんの親権を取って、シングルマザーで育てることに不安はありませんでしたか。
堀 個人事業主として収入を得ちゃってたけど、病気になったことで、この先どうなるのかなっていう不安はあったけど、上の子は中学生、下の子は小学生で、子どもたちのためにがんばろうっていうのが大きかった。離婚したことで、子どもたちに「うちは貧乏でお金がないんだ」って不自由な思いをさせたくなかったから、そこだけは絶対に保障したいなと。二十歳までは、親の責任だからね。離婚の原因もね、はっきり言えなかったです。
――夫婦喧嘩がなかったということですか。
堀 会話がないからケンカもない状態だったので、私も(元夫が)なんで怒ってるのかわからないことが多かった。こういうことがあったんですよ。後輩たちが、「堀さーん」って遊びに来るじゃないですか。その瞬間に、「俺は養子じゃない。姓は変わってるから『堀さん』じゃないだろう」って怒鳴ったんです。空気悪っ、みたいな(笑)。たしかにそうなんだけど、たとえば大森だって姓は変わってるけど、昔の仲間たちからは「大森」って呼ばれてるじゃないですか。そこからみんなは、「ジャンボ」って呼ぶようになりました。

