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公立高野球部の悲鳴「野球用品が高くなりすぎ…」「公立は年間予算が15万円だけ」練習球(7000円)しか買えない学校も…甲子園、公立校減少のウラで 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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posted2025/09/11 17:27

公立高野球部の悲鳴「野球用品が高くなりすぎ…」「公立は年間予算が15万円だけ」練習球(7000円)しか買えない学校も…甲子園、公立校減少のウラで<Number Web> photograph by JIJI PRESS

今夏、公立校として6年ぶりの4強入りを果たした県岐阜商。一方で今夏、公立校は史上最少6校のみだった

 いや、プロはOKですし、高校野球以外、どのアマチュア野球でも単色縛りのルールはなくなっていると思います。今、グラブの色に関しては、どんどん自由になっていますね。今の野球界は「オシャレ」「カッコいい」「楽しそう」を重視する方向にどんどんシフトしていっていますから。高校野球だけ、そこから取り残されている気はします。そもそも、お金がない環境下の学生も不利にならないようにという配慮で制定されているルールって、けっこうあるんですよ。だったら、投手グラブの規定なんて、真っ先に改定していいと思うんですけどね。これも高校野球の謎ルールのうちの一つです。

――個人で使う用具は私学、公立はあんまり関係ないですよね。

 家庭がどれだけ野球に投資する覚悟があるか、ですね。割合的には私学に行かせている親の方が本気度は高いと思います。学校単位でいうと、公立の年間予算は14、5万程度なんですよ。その予算は何に使われるかというと、ほぼボールですね。今、ボールの価格も年々高騰していて、試合球なら1ダース1万5000円、練習球なら7000円程度です。どのチームも最低でも練習球を20ダースくらい購入するので、それだけで使い切ってしまう。それなりに力を入れている私立なら年間、50ダースから100ダースは買っていると思います。

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――試合球と練習球はどう違うのですか?

 中に入っているウールの量です。練習球は少ないぶん変形しやすいんです。ひと昔前までは練習試合でも試合球を使うのが当たり前だったのですが、最近は、公立高校同士の試合とかだと練習球でいいですよねというケースも増えたようです。

花巻東“ナゾの”イナズマグラブとは?

――以前、高校野球界で1万円以上するコアエナジーというベルトが大流行したことがありましたけど、あれも手を出すかどうかは家庭の野球にかける思いに左右されそうですね。

 見えない流行ということでいうと、今年の甲子園はタビオの野球用ソックスを使っている選手がけっこういたようです。山梨学院はチームで採用していたと聞きました。この夏もけっこう足をつっている選手が目立ちましたけど、普通の1000円ぐらいの靴下を履いている選手もいて、少し驚きましたね。そこはこだわらないんだ、と。足をつるつらないでいうと、サプリに走りがちなんですけど、靴下もかなり重要なんです。タビオの靴下は3000円くらいするんですけど、いい感じで締め付けるところは締め付けてくれるので疲労感が少ないんです。

――グラブでいうと花巻東のグラブが気になりました。イナズマのようなマークのグラブを付けている選手がけっこういました。

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