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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「時差調整・練習日程は失敗か」日本代表取材記者がズバリ「犬がピッチで…アウェイ感ゼロ。W杯で怖いのは南米勢」米国遠征の“じつは想定外”
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byKoji Watanabe/Getty Images
posted2025/09/11 06:01
中2日で2試合を望んだ今回のアメリカ遠征は1分け1敗だが……取材記者が感じたW杯本番への課題とは
「メキシコ戦の際にも話しましたが、みんながエンタメとして楽しみに来たっていう空気感がありました。今日も2万人強の観客がいたとはいえ、アウェイ感はゼロでしたね。ハーフタイムにピッチでワンちゃんがフリスビーを追うショーをやっていましたから」
――何て牧歌的な(笑)。
「ただそこは、じつはピッチ外での一番大きな想定外だった、と言えるかもしれません」
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――というと?
「僕は2006年ドイツW杯以降、日本代表の試合は全て現地で見ていますが、もっともアウェイの雰囲気を感じたのがブラジルW杯のコロンビア戦(●1-4)。スタジアムに着いた瞬間からコロンビアサポが集まって、スタンドは真っ黄色っていう状況があったんですけど、あのアウェイ感を100としたら今回は1ぐらいでした」
南米と同組のシミュレーションができていない
――これまで以上にお祭りムードの強い大会になるかもしれない一方で、北中米と南米大陸は地理的に近いです。
「そう、怖いのは南米のチームと同じグループになった場合ですよね。特にアメリカとメキシコの試合では、相当アウェイになると思うんですよ。特にメキシコだったらアルゼンチンやコロンビア、ウルグアイなどは言語も一緒だし、そもそもアメリカもスペイン語がかなり通じる。さらに南米サポーターの熱量は言わずもがな熱い。そう考えると、日本代表はブラジル大会に次いでアウェイの環境で試合をやる可能性が高い。そういう意味でのシミュレーションはまだできていないです」
――なるほど……そこは見逃しがちな観点です。
「今後のAマッチウィークではアウェイの雰囲気に慣れておいた方がいいかもしれないなと。来年3月にはヨーロッパ遠征を行なうと見られてますが、ヨーロッパの国とアウェイで試合を組むのはスケジュール的にかなり厳しい。ヨーロッパ内で、ヨーロッパ以外の国との試合になる可能性が高いです。
特にアメリカ戦のメンバーは若い選手も多かったから、アウェイの難しい環境でサッカーする経験を是非してもらいたかったけど、そういう空気がなかったのはちょっと残念でしたね」
本番直前、思い切って南米で壮行試合しては
――本大会に近い環境設定は、今後の課題と言えそうですね。
「たとえば本番直前に3試合ぐらいできると思うんですけど、西エリア(※他に中央、東エリアと大まかに3つのエリアに分かれている)以外の開催になったら、思い切って南米に行ってアウェイの雰囲気で壮行試合をやるのも1つの手じゃないかなと。移動は南北だから経度としては北アメリカ大陸と一緒なので、時差は比較的ないわけですからね」
――たしかに。他に今回のアメリカ戦、気づいた点はありましたか?
「アメリカ戦から少し外れるんですが……今回のスタジアムは非常にしっかりしたVIPラウンジがあったんですよ。アメリカスポーツの稼げるところ、つまりVIPが来るような準備をしてるわけですよね」
――写真見ると、めちゃくちゃセレブな雰囲気ですね。
「ですよね。ピッチ上のサッカーはヨーロッパを見習いつつ、ピッチ外のところはアメリカを見習ってもいいんじゃないかっていうのは、VIPラウンジを見て思いました。
サンフレッチェ広島の新本拠地であるエディオンピースウイングはVIPラウンジがあるから、試合のない日でも結構稼働できているそうですね。会議とか研修会などで。そのエディオンピースウイング的な感じでみんな考えていってもいいかもしれないですね。そういったヒントは今回あったなとは思いました」
――最初に触れたアメリカ戦の「良いトライと悪いトライ」など興味深い話、ありがとうございました!〈第1回からつづく〉


