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獅子の遺伝子BACK NUMBER
「あの試合の話は…みんな避けていますね」“疑惑”判定→3ラン被弾の横浜高エースが振り返る“慶応旋風”に泣いた夏「甲子園は見ていない」
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byJIJI PRESS
posted2025/09/02 11:02
名門・横浜高のエースとしてチームを引っ張った杉山
横浜高校は夏の甲子園大会に21回の出場を誇る強豪中の強豪だ。神奈川の高校野球を牽引してきたリーダー的存在でもある。
「松坂(大輔投手)さんを筆頭に、本当に多くの有名な先輩方がいて、自分たちはその伝統を引き継いでいくんだという思いが高校時代から強かった。『甲子園に出ないといけない高校』だとも思っていたので正直、プレッシャーはありました」
「あの夏の試合の話はみんなしない」
高校入学時には、学校や寮には各大会の優勝盾やトロフィーがずらりと並んでいるのを見て、その数に驚いたと杉山は振り返る。
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伝統と歴史ある高校のエースナンバーを付けるプライドもあった。何より自身の勝ち負けだけではなく、歴代の諸先輩の思いを背負って臨んだ最後の夏だった。
「僕は甲子園に憧れて、甲子園に出たくて横浜高校に入って、甲子園で試合をすることもできましたけど、本当に楽しい場所でした。普段の試合とは全然違う。あっという間に終わってしまったなぁという感じでした。
楽しくて、時間が短く感じたのだと思います。卒業したあと、元野球部の仲間と会う機会があるのですが、神奈川大会の決勝戦の話題にはならないです。『こういう練習キツかったよね』みたいな話はするんですけど、あの夏の試合の話はしない。たぶん、みんな避けていますね」
笑顔でそう振り返るが、今でも当時の横浜ナインにとっては苦い思い出となっているのだろう。そんな杉山はプロ2年目を迎えた今、どのような日々を過ごしているのかーー。〈つづく〉


