「全員が少し余裕を持ってしまった」甲子園“優勝候補の大本命”横浜敗退の衝撃…その誤算の正体とは？ 涙の主将は「全て出し切って負けたので…」

　エースの奥村頼人は、神奈川大会前に起こした左太もも肉離れの影響もあり、今夏はここまでわずか6回1/3しか投げていなかった。

　4番バッターとして3本のホームランを放つなど攻撃でチームを支えた横浜の二刀流が、夏の甲子園で初登板となった試合が2回戦の綾羽戦である。

　9回2死からマウンドに上がった、横浜の背番号「1」が投じた球数は6球。全てがストレートだった。「技術じゃなく、気持ち」。ピッチングスタイルに矜持を持つ奥村頼は、この6球の意味をこうぶつけていた。

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「最近、真っすぐの強さを求めてやってきて。配球として組み立てたんじゃなくて、1球、1球ベストボールを選んだ結果でした」

今夏はリリーフでの登板が多かった横浜の「背番号1」奥村　©Hideki Sugiyama

　そして奥村頼は、先の戦いを見据えるように覚悟を示していた。

「これから、もっと厳しい場面で出番があると思うんで、そういう場面で結果を出せるように準備していきたいです」

　監督の村田は、そんな奥村頼の性格を「よく知っている」と言った。

「『投げたい』気持ちを爆発させよう」

　復調を遂げた甲子園でも3回戦までほとんど登板させなかった背景には、人心掌握があったわけである。

「彼は投げたくてしょうがないんです。その『投げたい』という精神、気持ちを極限まで待って、どこかで爆発させようと思っているので。この夏は、彼が投げてくれないと絶対に勝てないんです」

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