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獅子の遺伝子BACK NUMBER
「あの試合の話は…みんな避けていますね」“疑惑”判定→3ラン被弾の横浜高エースが振り返る“慶応旋風”に泣いた夏「甲子園は見ていない」
posted2025/09/02 11:02
名門・横浜高のエースとしてチームを引っ張った杉山
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
JIJI PRESS
埼玉西武ライオンズの高卒2年目左腕・杉山遙希投手は、横浜高校3年夏の悔しさを今も忘れていない。神奈川大会決勝で慶応高校に逆転負けを喫して甲子園出場を逃した。打ち砕かれた名門校のプライド。「エンジョイ・ベースボール」を掲げ夢舞台で優勝を果たした「慶応フィーバー」をどう見ていたのか。NumberWebのインタビューで振り返った。〈全2回の前編/後編を読む〉
「やっぱり毎年、夏の大会の時期が来ると思い出しますね」
そう語るのは2024年にドラフト3位でライオンズに入団した杉山遙希だ。
杉山は神奈川県の名門・横浜高校出身。1年生の春からベンチ入りを果たし、1年生の夏は背番号15をつけて神奈川大会の決勝に先発した。その後、甲子園でも登板。2年の夏はエースナンバーを背負って甲子園に2年連続出場を果たす。2回戦で敗れたものの杉山自身は8回途中3失点と好投した。
忘れられない「逆転シーン」
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しかし2023年、杉山が3年時、最後の夏は神奈川大会の決勝で涙をのんだのである。
「勝っていた状態で最後、自分がスリーランホームランを打たれて逆転されたので、やはりそのシーンが頭に浮かびます」
横浜高校は順調に神奈川大会を勝ち進み、決勝戦で慶応高校と対戦した。
5対3と横浜がリードして迎えた9回表、ヒットで先頭打者に出塁を許したが、杉山は続くバッターをセカンドゴロに取る。二塁手からベースカバーに入った遊撃手に送られたあと、ボールは一塁に転送。タイミングはセカンドでランナーアウトだと思われたが、二塁塁審は大きく横に手を広げ、セーフのゼスチャーをとった。

