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甲子園の風BACK NUMBER
松坂大輔は「現実離れしたアニメを見ている感覚」日大藤沢で“怪物”に3度敗れた男・館山昌平の青春「中学までキャッチャー、目標はベンチ入り」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph bySANKEI SHIMBUN(L)/Hideki Sugiyama(R)
posted2025/08/28 11:01
日大藤沢高時代の館山(左)は横浜高と松坂(右)の壁に阻まれ、甲子園出場はセンバツの一度だけだった
準々決勝の高鍋戦は延長10回を投げ切り、11安打されながらも粘りの投球で3失点にとどめた。その裏に味方のサヨナラホームランで勝利。館山にとっては大きな教訓を得たゲームにもなった。
「9回表2死からポテンヒットのタイムリーで2点取られて同点になって、もう僕のなかでは目いっぱい。それでも10回表を抑えて、次のイニングはもう無理ですって弱音を吐こうと思っていたんですよ。
そうしたら(味方が)まさかサヨナラホームランを打つとは。どんな状況でも弱音は吐いちゃいけないって思いました。内心は無理だと思っていても、チームに求められる以上、何としてもやり続けたほうがいいなって」
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準決勝は久保康友の関大一(大阪)。序盤にリードを許し、リリーフに回った館山もマウンドにのぼったが、追いつけずに3-5で敗れた。もしここで勝っていれば、決勝で三たび横浜との対決が待っていた。
松坂へのリベンジの思いは?
2連敗している横浜に決勝でリベンジしたいという思いはあったのか?
そう尋ねると、館山は大きく首を振った。
「向こうのブロックがどうなっているかなんて、まったく気にしていなかったですよ。目の前にある試合のことで精いっぱいだし、疲れているし。(大会中)バスでほかの試合がモニターに映っていても、頭に全然入ってこなかったです」
ただ館山はアンテナを張り、対戦投手からも学ぼうとしていた。参考材料になるものがたくさんあった。
「高校に入ってから本格的にピッチャーをやっているので、すべてが勉強だし、すべてが先生に見えて。木谷投手は躍動感があって、ボールも凄く速くて。松下投手もそうですが、真っ直ぐのラインからボールが入ってきて、これは取り入れてみたいと思いました。(センバツ後)そのラインにすることでシュート、スライダーが改善できたんです」
ヒントを得られたことで、自分の投球術に磨きを掛けていく。そしてセンバツから1カ月後、またしても松坂との対決が待ち受けていた。
〈つづく〉

