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将棋界“じつは大問題”棋士番号から消えた20人「1955~77年に死去…なぜか除外」繰り上がり元A級棋士がベテランに聞いた「勝手な変更が」
posted2025/08/30 06:00
将棋界ではそれぞれの棋士が「棋士番号」を持つ。しかしそこから除外された20人がいるのだという
text by

田丸昇Noboru Tamaru
photograph by
Nanae Suzuki
棋士には四段昇段順に「棋士番号」が原則として付けられている。60年以上前に定められたものだ。その番号は将棋連盟ホームページや『将棋年鑑』の棋士欄に掲載され、NHK杯戦の対局では司会者が紹介する。棋士にとって、それは単なる整理番号ではなく、思い入れがある記念の番号だと思う。しかし、現行の棋士番号には20人もの棋士が除外された大問題があるという。そうした事情について、順位戦A級在籍経験を持つ田丸昇九段が羽生善治九段、藤井聡太七冠らの棋士番号を表で示すとともに解説する。(棋士の肩書・段位は初出以外省略)
中原十六世名人は92番、最新の346番は誰?
「棋士番号」の1番は、1912年(明治45)に四段に昇段した金易二郎名誉九段(80年死去、89歳=以下同じ)。孫弟子に中原誠十六世名人(77)、ひ孫弟子に伊藤匠叡王(22)らがいる。
2番は1910年(大正9)に四段に昇段した木村義雄十四世名人(86年/81歳)。37年に実力制名人戦で第1期名人に就き、戦前戦後に第一人者として君臨した。表にて主な棋士たちの番号を紹介する(外部配信サイトの方は【関連記事】などからご覧になれます)。
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92番の中原は誕生日も9月2日、炭崎俊毅四段の346番が最新の番号である。なお私こと田丸昇九段(75)は、1972年4月に四段に昇段した。棋士番号は109番。東京・渋谷のファッション店舗「109」、または「トーキュー(東急)」と覚えている。
実は四段昇段時のは旧棋士番号で、1977(昭和52)年4月1日付で現在の棋士番号に変更されたのだ。そして、55年から77年3月までに死去した20人の棋士がなぜか除外されてしまった。
その中には旧棋士番号で1番だった土居市太郎名誉名人(73年/85歳)も含まれていた。1910年に四段に昇段し、現1番の金名誉九段より2年早かった。実力制名人戦がもっと前に実施されていたら、名人になったはずの大棋士だ。
約50年前、なぜか除外された「20人の棋士」
約50年も前のことで記憶があいまいだが、20人の棋士が除外されたことで、私を含めてほかの棋士たちの番号も繰り上がった……。




