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「ミラ・ハヅキ…って誰?」日本人が知らない“昭和スポ根アニメ”大ヒットの謎『アタックNo.1』だけじゃない異国イタリアのバレー少女に刺さった名作 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byTakashi Yuge

posted2025/08/29 11:03

「ミラ・ハヅキ…って誰?」日本人が知らない“昭和スポ根アニメ”大ヒットの謎『アタックNo.1』だけじゃない異国イタリアのバレー少女に刺さった名作<Number Web> photograph by Takashi Yuge

イタリアのスポ根アニメ専門誌。表紙でひと際目立つセンターに『ミラ・エ・シロ』=『アタッカーYOU!』が配置されている(筆者私物)

 日本からイタリアに伝わり世界的に大ヒットしたスポーツアニメの筆頭といえばサッカーの『キャプテン翼』だが、その先鞭をつけたのも驚くなかれ『アタッカーYOU!』なのだ。

 時系列をたどると『YOU!』のイタリアと欧州での番組放映権を購入したのは、メディア王としても有名だった元イタリア共和国首相シルヴィオ・ベルルスコーニ(2023年没)所有の民放TV局「イタリア・ウノ」だった。1980年代初頭、同国の放送法改正で民放局による全国ネットが解禁になると、野心家ベルルスコーニのTV局グループは自社コンテンツの目玉の一つとして日本のアニメ作品を番組編成へ積極的に導入した。

 イタリアでは先んじて『巨人の星』や『あしたのジョー』、『赤き血のイレブン』等が放送されており、日本のスポ根アニメが受け入れられる下地はあった。無論、1981年から放映された『アタックNo.1』(伊題『ミミ・エ・ラ・ナツィオナーレ・ディ・パッラヴォーロ』)の影響も大きかった。

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 だが、『ミラ・エ・シロ』フィーバーは軽々と国境を飛び越えるほど傑出していた。

 国内の大ヒットに気をよくしたTV局「イタリア・ウノ」は、ベルルスコーニ親分がスペインやフランスで所有していた系列TV局でも『ミラ・エ・シロ』現地語版を制作、順次放映した。両国でもヒットを記録した後、ミラ人気はドイツやポーランド等欧州の他国にも飛び火した。

『ミラ・エ・シロ』に遅れること5カ月、『ホーリー・エ・ベンジ』と改題された『キャプテン翼』がTV局「イタリア・ウノ」で放送開始されたのが1986年7月のことだ。『翼』人気は『YOU!』の成功パターンをなぞる形で、西欧から欧州全域に広まったのだ。

 サッカー界における『キャプテン翼』の世界的影響力についてはあらためて述べないが、もし『アタッカーYOU!』がなかったら、現在のバレー界がまったく異なる風景になっていた可能性は大いにあるといえるだろう。

【次ページ】 空前の女子バレーブームに沸くイタリア

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