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「釜本を育てる…それがサッカー界の総意となったわけや」釜本邦茂は何がスゴかったのか？ ライオンに憧れた少年にあった“もうひとつの才能”
posted2025/08/13 11:01
早稲田大学時代の釜本邦茂（1965年）。2025年8月10日、81年の生涯に幕を閉じた
text by
藤島大Dai Fujishima
photograph by
Shinichi Yamada/AFLO
日本サッカー界に偉大な功績を残した釜本邦茂。いまも“史上最高のストライカー”と称される所以はどこにあるのか。その源流を知る人物が証言した20年前のノンフィクションを特別に無料公開する。《初出：2004年3月4日発売、Sports Graphic Number597号／釜本邦茂「考えるライオン」はどうして育ったか》【全3回の2回目／第3回に続く】
「チームでは孤立しなかったんですか」
さて釜本を釜本たらしめた本質は何か。
まず個性。
僕、大きくなったら何になる。そう聞かれた邦茂少年の答えはいつも同じだった。
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「ライオン」
つまり、そういう人間だ。
「みな、それぞれ持ってる性格がある。僕は負けず嫌いです。自分がやってきたことについてはね。勝ちたい。点を獲りたい。そのことを、ずーっと考えてきた。だいたい負ける人は好きじゃない。佐々木小次郎も強いかもわからんけど最後は負けるから嫌い。勝つ者、自分の夢を実現させる人間が好き」
百獣の王は芝を支配する。よこせ。あっち出しとけっ。こらっ。仲間への厳しい要求は有名だった。若き日、釜本ファンだった本欄写真家は撮影時に大胆にもたずねた。
「チームでは孤立しなかったんですか」
ストライカーは苦笑した。
「さあ、どうかな。サッカー以外ではそうかもわからんね」
