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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「たまらんですよ!」“生粋の横浜ファン”DeNA石田裕太郎を燃えさせた筒香嘉智の助言…最強ローテに「へばりついて、ポジションを奪う覚悟です」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byNaoya Sanuki
posted2025/06/30 11:01
今季は5/22の本拠地初先発で1安打完封勝利を挙げ、その後も一軍で奮闘を続けている石田
敬愛する筒香からの助言
「じつはキャンプのとき、筒香(嘉智)さんと食事をして会話する機会があったんです」
横浜生まれのベイスターズファンだった石田にとって筒香は、敬愛する憧れの選手だ。その筒香が石田に向かって次のように言ったという。
「いいか裕太郎、シーズン前半で頑張って、後半落ちてしまうのか。それとも徐々に徐々に調子を上げていって、最後まで一軍にいることができるのか。1年が終わったとき、前者と後者では達成感が全然違うんだよ」
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頬を紅潮させて石田は語るのだ。
「この筒香さんの言葉があったから、4月にファームに行ったとき焦らなかったんです。もしこれが1年前だったらあれこれやろうと焦ったのでしょうが、もう今年は迷いなくやれています」
こちらが「筒香さんの言葉はたまらないでしょうね」と伝えると、石田はかぶせるように笑顔で言葉を返した。
「たまらなかったですよ! こんな機会めったにないので栄養面の話を訊いたり、本当に勉強にしかならない時間でした」
苦境があったからこその変化
最後まで一軍にいること。振り返れば昨年交流戦でデビューを果たし、マダックスを達成して“救世主”と呼ばれたこともあったが、最後は尻すぼみになり、ポストシーズンではチームの力になれなかった。弾んでいた声を落ち着かせ、石田は自戒を込めて言う。
「だいぶ悔しかったですけど、あの経験があったからこそ今年、やり方や考え方を変えることができました。アームアングルを下げてみようとか、スイーパーを覚えようとか、自分を冷静に見ることができ、新しいことにもチャレンジできた。だから長くやりたいと思っているプロ野球人生を考えたら、よかったんじゃないかと思っています」
障壁をパワーに転換する向上心。ところで、ベイスターズファンとしての石田は、そんな『ベイスターズの石田裕太郎』という投手をどのように見ているのだろうか。そう問うと「うーん」と唸りながらしばらく考え、石田は言った。

