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「不思議な縁で」卒業後も同じ実業団に…青学大2014年同期・中村祐紀は「マラソンにも勝てて悔いなく引退」田村和希は「僕もやめるなら同じ境地で」
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佐藤俊Shun Sato
photograph byTadashi Hosoda
posted2025/06/19 17:02
卒業後に同じ住友電工に進んだ「青学2014年組」の中村祐紀と田村和希。中村が今年引退し、同期で競技をつづけるのは田村だけになった
悔いのない引退
中村は今年2月、現役引退をSNSで表明し、大阪マラソンを引退レースとした。
「引退を決めましたけど、悔いはなかったです。インターハイで活躍できて、箱根駅伝も走れました。マラソンで優勝もできたし、MGCにも出場できました。世界には届かなかったけど、自分としては十分やれることはやったかなと思います。
引退レースも無理を言って、会社があって、自分の地元の大阪を走らせてもらいました。いろんな人に来てもらって、応援してもらって。本当にしあわせな17年間の陸上人生だったと思います」
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中村は、笑顔でそう言った。
今は人事部に異動し、陸上部の活動を見守っている。
目標を達成した中村が「その時は大きく見えた(笑)」
田村は、中村の引退をどう感じていたのだろうか。
「防府で優勝して、MGCに出るという大きな目標を達成してすごいなと思いました。その時は、中村が大きく見えました(笑)。アキレス腱がかなり痛いと言っていましたし、それを大学の時から聞いていたので、僕ならたぶんMGCに出て、やめていたでしょうね。でも、逃げずに最後まで頑張ったし、目標も達成した。中村はやり切っての引退だと思うので、僕もやめるなら同じ境地で終わりたいです」
田村は、2020年の楔で打ち込まれた鎖をまだ断ち切れていない。
「あの後、パリ五輪を目指そうとしたのですが、自分がそこを目指すレベルには至っていなかったので、パリを目指すとは言えなかった。それを言うと自分に嘘をついてしまいますし、周囲の選手に対しても失礼だと思ったからです。
ここ1年は怪我なく練習できているので、10000mの26分台、5000mの12分台にはちょっとずつ近づいている感はあります。今の練習がレースの結果につながった時、あの楔から解き放たれるんじゃないかなと思います。早く実現したいですね」
今後は2028年ロス五輪出場に向けて、10000mでの戦いを継続していく。

