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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
7年目でついにブレイクか「高卒育成ドラフトの星」DeNA宮城滝太24歳は初体験する一軍のハードな日常に奮闘中「計画性より“鈍感力”で」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2025/06/16 11:03
2018年育成ドラフト1位指名から22年に支配下登録、23年に一軍初登板。7年目にしてついに実力を開花させつつある宮城滝太。下の名前の読みは「だいた」
発想の転換という成長
「そういった部分でも今季は、自分の特長を生かしたピッチングができているのかなって。いいボールを投げることはもちろんですが、それ以上にバッターから自分はどのように見えているのか、反応などを結構気にしながら投げているんです」
以前の宮城は、相手打者の弱点をつき勝負することを主眼としていたが、今は違う。
「自分に対してバッターがどのようなアプローチをしてくるのか、打者目線で考えるようになってから、ピッチングがまとまったような気がしているんです」
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自分がどう攻めるかではなく、相手は自分をどう攻略しようとしているのかを考える。この発想の逆転に至っただけでも宮城の投手としての大きな成長が感じられる。
昨季、宮城になにが起こっていたのか?
宮城にひとつだけ、これだけは訊きたいと思っていたことがあった。それは昨年のことだ。一昨年頭角を現し、勝負の年だったはずだが、前述したように一軍登板は1試合のみ。ファームでも精彩を欠き、イースタン・リーグのシーズン後半には何故か先発で投げることもあった。果たしてなにが起こっていたのだろうか。そう問うと、宮城は少し眉間に皺を寄せた。
「いやもう完全にわからなくなっていたんですよ。じつは4月の頭に足に肉離れを起こして、そこでおかしくなってしまい……。怪我が治っても前年まで出来ていた動きは出来ないし、スピードや出力が出る感覚もない。その状況を受け入れて、今までにない動きを採り入れたりもしたんですけど、やっぱり全然違うなって。
また、1イニングとか短いイニングでは状態がわからないので、先発をやったりロングリリーフをやったりしたんですけど、それでも取り戻せない。完全に自分を見失っていたし、焦っていたというか……うん、焦っていましたね。投げたくないって思いにもなりましたし、ぜんぜん楽しくないなって……」

