昨季“0勝11敗”を「乗り越えてはいないけれど、多くを学んだ」西武・高橋光成が597日ぶり勝利までに変えたこと「ブルペンではあえて遅く投げる」 

どん底を見たゆえに可能になった変化

「今シーズンはブルペンでの過ごし方もガラッと変えたんですよ。ブルペンでは試合みたいに投げないように心がけていて……。球速も試合より10キロぐらい遅いんです。

　オフに一緒に練習させていただいた菊池雄星さん（エンゼルス）が、ブルペンではあまり球速を出していなかったので、不思議に思って聞いたら『シーズン中はあまりブルペンに入らない』と言っていたんですよ。ああ、そうか、入らないっていう選択肢もあるんだなぁと思ったときに、自分も取り入れてみようと思いました」

　これまで常識だと思ってきた方法だったが、視野を広げてみれば、また違う道もあるのだと気づいた。菊池の調整方法を知ったのは昨年。「シーズン中にスパッと変える勇気がなくて」と高橋は振り返る。結果的に昨シーズン、0勝に終わったことで思い切ってさまざまな練習方法や調整方法にチャレンジできるようになった。それは“どん底”を味わった者だけが持つ強さではないか。

昨シーズンがあったからこそ学べたこと

徐々に復調を見せ、表情も明るい高橋光成　©Shigeki Yamamoto

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「キャンプ中からブルペンではキャッチャーの人にボールを受ける場所を変えてもらって、1メートルくらい前に座ってもらったり、逆に後ろで構えてもらったりしていました。なるべく実戦とは違う状況で投げるようにしてみたんです。

　今、フォームも少し変えているのですが、去年の結果がなかったら、こうしてガラッと変えられなかったと思います。さまざまなことを見直すきっかけをくれたのは、間違いなく去年のシーズンでした。成績は良くなかったけれど、それ以上に学ぶことがたくさんありました」

　現在は自主トレ中と同じ方法でトレーニングを続け、リカバリーの手段として新たにクライオセラピー（凍結療法）を取り入れていると語る。「より野球がうまくなりたい」という目標に近づくために、さまざまなことを試しながら登板日に備えているところだ。

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