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獅子の遺伝子BACK NUMBER
昨季“0勝11敗”を「乗り越えてはいないけれど、多くを学んだ」西武・高橋光成が597日ぶり勝利までに変えたこと「ブルペンではあえて遅く投げる」
posted2025/06/14 11:03
昨季、2シーズンにまたがって13連敗を喫し、チーム記録を更新してしまった高橋だが今季は徐々に復活。安定した投球を見せている
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
JIJI PRESS
高橋光成が4月29日の東北楽天戦で今シーズン初勝利を挙げた。昨年、0勝11敗に終わった高橋にとっては実に597日ぶりとなる勝ち星だった。
少し気恥ずかしそうにそのときを振り返る。
プロ初勝利よりうれしかった
「素直にうれしかったですね。プロ入り初勝利を挙げたときよりうれしかったです。去年、本当に苦しんだので。だからすごくうれしかったですし、ほっとしました」
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今季8試合目の登板となった5月27日の東北楽天戦と9試合目の広島戦では、勝ち星こそつかなかったものの高橋らしい粘り強いピッチングを見せた。味方の好プレーを大きなゼスチャーで称える。ベンチから身を乗り出して打者に声援を送る。厳しい判定にも、納得しているように笑顔で大きくうなずく――。その充実した表情を見る限り、ピッチング自体を楽しんでいるようにも見えた。
昨年は白星から見放され、投手成績の勝利数にはいつまでも“0”が続いた。そんな1シーズンを過ごし、迎えた2025年だった。
高橋はこの難局をどうやって乗り越えたのだろうか。
まだ乗り越えてはいない
「まだ乗り越えてはいないですよ。乗り越えていたら、もっと勝っていますし。でも、昨年がいい経験になったというのは、間違いないですね。うまくいかないときって、自分を見つめ直す時間になりますよね。それは今後の野球人生だったり、野球に限らず、僕の人生においてもすごく大きな経験になると思っています」
2024年のシーズン終了後は、オフ期間にもかかわらず一日も休まずにトレーニングに励んだ。筋力トレーニングのメニューも変更。重さを重視して行っていたトレーニングを、重量を減らし、速く上げるトレーニングメニューへと変えた。より瞬間的に大きな力を出せるよう考えたからだ。同時に「動ける体を」と糖質を制限した食事で体重を9kg落とす。

