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「ナカタニ60点、テンシンは90点」なぜ中谷潤人に辛口採点…? 英国人記者も裏切られた“衝撃の幕開け”「圧勝する姿を井上尚弥に見せたかったのか」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byHiroaki Finito Yamaguchi

posted2025/06/10 11:04

「ナカタニ60点、テンシンは90点」なぜ中谷潤人に辛口採点…? 英国人記者も裏切られた“衝撃の幕開け”「圧勝する姿を井上尚弥に見せたかったのか」<Number Web> photograph by Hiroaki Finito Yamaguchi

西田凌佑(右)に対して1ラウンド目から猛攻を仕掛けた中谷潤人

 普段ほどのスピードが感じられなかったのは、ナカタニが少しパンチを溜めて打っていたからではないか。左の強烈なパンチで倒すことを意識し、全重量をかけようとすると、そのコンビネーションからは最高速のスピードは失われる。ポイント自体はナカタニが奪ってはいたが、ニシダのボディへのカウンターが随所にWBC王者をとらえていたようにも見えた。

 すでに3階級制覇を果たしたナカタニは通常、リング上でも落ち着いていて、パンチは正確だ。美しいテクニックを基盤とした適切なパンチを打ち、洗練された攻防で魅せてくれる。それが今戦では少々強引に見えた。理由は私にはハッキリとはわからない。エリートレベルでの試合経験とKO数に乏しいニシダを驚かせようとしたのか、あるいはリングサイドにいたイノウエに見せつけるように圧勝したかったのか。

「みんなが観たがっているのはイノウエとの試合なんだから」と考え、メッセージを送りたいという気持ちがあったのだとしたら理解できる。ほとんどパンチをもらわず、強烈かつ正確なパンチを決めて相手を豪快に倒す、というナカタニ独特のパフォーマンスではなかったのは、やや力が入りすぎていたがゆえだろう。

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 それらを考慮して、私は今戦でのナカタニには100点満点中60点を与えたい。

 一方、ニシダの戦いぶりは見事だった。

第2回へ続く〉

#2に続く
「ナカタニに食らいつくなんて…」中谷潤人と西田凌佑“衝撃のTKO決着”に英国人記者も興奮「中谷は増量したらもっとすごいボクサーになる」
この連載の一覧を見る(#1〜3)

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