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「ナカタニ60点、テンシンは90点」なぜ中谷潤人に辛口採点…? 英国人記者も裏切られた“衝撃の幕開け”「圧勝する姿を井上尚弥に見せたかったのか」
posted2025/06/10 11:04

西田凌佑(右)に対して1ラウンド目から猛攻を仕掛けた中谷潤人
text by

杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
王者同士のプライドをかけた戦いは予想通り、いや予想以上の激闘になった。
6月8日、有明コロシアムで行われたWBC、IBF世界バンタム級王座統一戦で、WBC王者・中谷潤人(M.T)がIBF同級王者・西田凌佑(六島)に6回TKO勝ち。中谷は戦績を31戦全勝(24KO)に伸ばし、リングサイドで見守った世界スーパーバンタム級4冠王者・井上尚弥(大橋)とのメガファイト実現に大きく一歩前進した。敗れた西田の勇敢さと闘志も好評であり、敗者の評価、知名度も上がった稀有なタイトル戦だったといえよう。
この戦いを総括するため、リングマガジンの編集人を務める英国人ライター、トム・グレイ氏に意見を求めた。グレイ氏は軽量級、アジアのボクシングにも精通しており、かつて日本に足を運んで井上との対面取材を敢行したことも。ベテランライターは中谷の戦い方には少々厳しい評価だったが、それでも“ビッグバン”の愛称を名乗るようになった27歳の王者の今後への期待感は隠さなかった【NumberWebレポート全3回の1回目/第2回に続く】
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(以下、グレイ記者の一人語り)
いつもとは違うゲームプラン
6回TKO勝ちという結果はもちろん素晴らしいものだったと思う。統一王者になり、リングマガジン王座も獲得したのだから、見事な成果であることは間違いない。
その一方で、この日のナカタニは少々打ち気に逸りすぎていたようにも見えた。だからベストのパフォーマンスだったとは思わない。
序盤から相手を吹き飛ばそうと考えていたようで、第1ラウンド開始直後からその意気込みが見てとれた。早い段階から攻めるのがゲームプランだったのだろう。ナカタニがエキサイティングな試合をしたがっていたのは明白だった。ただ、スピードは感じられなかった。