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日本代表vsインドネシア予想スタメン…「お前の考えも分かるが」“名波コーチに主張”鈴木唯人、佐野海舟の戦術眼がW杯メンバー争いを熱くする
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJanelle St Pierre/Getty Images
posted2025/06/10 06:02

オーストラリア戦に先発した佐野海舟。インドネシア戦でのスタメン出場はあるか
その意味で、鈴木が特長を出しつつチームに貢献することを優先させたのは、素晴らしい判断だった。後半になり、63分に久保建英が交代出場してから鈴木は左シャドーに移した。ただプレーの基本スタンスは変わらなかった。67分には左サイドを離れて右サイドに回りパスを受けると、ダイレクトで久保にパスを出して、チャンスを演出した。
じつは試合の2日後、日本に帰国してから最初の練習でも鈴木は名波コーチと対話を続けた。そこでこんなアドバイスをもらい、納得したという。
「お前の考えもわかるが、中に入りすぎると1トップの選手のスペースやパスコースを消してしまうから。そこについては考えてプレーするべきだ」
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鈴木は自分の特長を出すことを心がけるが、自分勝手にプレーしたいわけではない。自分の特長を出すことでチームに貢献したいのだ。
間違えてはいけないのは、(1)→(2)の順番でプレーすること。その意味で、攻撃面のデザインをする名波コーチとの対話は今後の鈴木にとっても、意味があるはずだ。それは名波コーチが自己主張できる選手を嫌うことなく受け止める、包容力と柔軟性を持った指導者であることを付け加えておくが――。
佐野が“意図的に”作り出したスペース
ここでもう一度、前半28分のシーンを思い出してほしい。鈴木が町田浩樹からのパスを、フリーで受けられたのには理由がある。
それは佐野海舟が、鈴木がパスを受けられるためのスペースを“意図的に”作り出したからである。この時、佐野と相手ゴールの間に、オーストラリアの右ボランチを務めるオニールが立っていた。佐野はその状況をこう解説した。
「(オニールを)引きつけたら、絶対にその(背後)スペースが開くと思っていたので。良い場面だったのかなと感じます。ああやって(数的な優位性を)ひっくり返して、素早い攻撃できている時が一番チャンスになっていると思うので。引いてくる相手に対しては、どんどんやっていくべきかなと」
佐野はスペースを見つけてパスを出してくれた町田と、そのスペースに顔を出してくれた鈴木に感謝をしていた。映像で見返してみると、鎌田からのパスを受ける前の佐野は、何度も顔を振っている。味方が立っている場所とその動き、そしておびき寄せたいオニールの位置と動きを、確認するためだ。
試合直後から佐野の“分析力”はスゴかった
ただ佐野は、そんなシーン1つでは満足するつもりはない。