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主犯はレーシング・ブルズ!? モナコGPが前代未聞の超スローペースになったわけ…アルボンは「気に入らないね、ファンに謝罪したい」

posted2025/05/30 17:01

 
主犯はレーシング・ブルズ!? モナコGPが前代未聞の超スローペースになったわけ…アルボンは「気に入らないね、ファンに謝罪したい」<Number Web> photograph by Getty Images / Red Bull Content Pool

モナコの名所・ローズヘアピンは大渋滞ポイントとなった

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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Getty Images / Red Bull Content Pool

「2ストップ」という特別ルールが敷かれた今年のモナコGPで、前代未聞の戦略が採られた。

 昨年のモナコはスタート直後に大クラッシュが発生して赤旗中断。中断中にタイヤ交換義務を消化できたため、多くのドライバーがこの赤旗中断中にスタート時と異なるコンパウンドに変更した。どんなに速くても抜くことが難しいモナコでは、ピットインでタイヤ交換してポジションを落とすより、最初に履いたタイヤで走り続けたほうがポジションをキープできるからだ。

 その結果、レースはタイヤをもたせるためにF1とは思えないスローペースの展開となった。今年もスタート直後に赤旗が出る可能性が高いため、予防線を張る意味でピットストップ回数を1回増やして、2ストップが義務化されていた。

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 しかし、レースは国際自動車連盟(FIA)の思惑通りにはならなかった。むしろ、2ストップを逆手に取って、昨年よりも遅く走る“超”スローペース戦略を採るチームが現れてしまった。それを真っ先に実践したのがレーシング・ブルズだった。

連鎖したスローペース

 レーシング・ブルズはチームメート同士が比較的近いポジションを走行していたため、後ろを走るドライバーが遅く走ることで前車とピットストップロス分の19秒のギャップを作るという戦略を実行した。抜きどころがないモナコではラップタイムを3秒以上落としても抜かれることはない。そのペースで7周走ったところで前のドライバーがピットインし、その後も後ろのドライバーがスローペースで走り続けて20秒の差を築いてから2回目のピットストップを行えば、前のドライバーはポジションを落とすことがないというわけだ。

 こうして、5番手からスタートしたアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)はルイス・ハミルトン(フェラーリ)にはポジションを奪われたものの、後続のマシンにポジションを脅かされることなく、6位でフィニッシュすることに成功した。

【次ページ】 問題はどこにあったのか

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