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武居由樹の“伸びる左”がアゴを直撃「当日3キロ重かった…タンクのような体」敗者ユッタポンはなぜ一撃で崩れ落ちた?「バンタム級に異変」衝撃KOウラ側
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渋谷淳Jun Shibuya
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2025/05/29 17:05
WBOバンタム級王者の武居由樹は同級8位の挑戦者ユッタポンを127秒で一蹴。「もう1本くらいベルトほしいっすね」と発言し会場を沸かせた
「ベルト1本じゃ物足りなくなってきた」
武居はあらゆる不安要素を一掃して快勝を手にした。初回KOの意味は強烈なインパクトを残しただけではない。右肩を酷使せずに済んだという意味でも完璧な勝利だったと言えるだろう。
試合後には意欲的な発言も飛び出した。
「なんか最近になって(ベルト)1本じゃ物足りなくなってきた気持ちがある」
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言うまでもなくバンタム級は主要4団体すべてのチャンピオン(WBAは堤聖也が休養王者、正規王者はアントニオ・バルガス)が日本人だ。昨年から統一戦が期待され、6月8日には有明コロシアムでWBC王者の中谷潤人(M.T)とIBF王者の西田凌佑(六島)が拳を交える。
この状況で武居がもう1本のベルトを狙うとなればターゲットはWBA休養王者の堤聖也(角海老宝石)ということになるが、互いにまずは指名試合が避けられない。現時点で武居の次の相手はWBO1位のクリスチャン・メディナ(メキシコ)が濃厚だ。
さらには対戦を熱望している同じキックボクシング出身の那須川天心(帝拳)の動向も見逃せない。記者会見で那須川に関する質問が飛ぶと、今までのラブコールとは違い、チャンピオン目線でこう答えた。
「(リング上で那須川の名前を出さなかったのは)彼はまだチャンピオンじゃないので別にいいかなと。彼が獲ればもう1本を彼と? それもいいですよね。応援してます」
那須川は6月8日、中谷と西田と同じリングで「世界前哨戦」に挑む。武居にしてみればライバルたちの試合の直前にいいところを見せられて気分がいいことだろう。バンタム級ウォーズをより魅力的なものにする意味でも価値ある勝利だった。

