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あの広島ドラ1「先発→抑え→先発」1年間でビックリ配置転換…佐々岡真司が語る“こんなに違った”野球界の常識「無茶なことしてるな、浩二さん(笑)」

posted2025/05/29 11:03

 
あの広島ドラ1「先発→抑え→先発」1年間でビックリ配置転換…佐々岡真司が語る“こんなに違った”野球界の常識「無茶なことしてるな、浩二さん(笑)」<Number Web> photograph by L)Tadashi Hosoda、R)KYODO

現役引退後は広島の監督も務めた佐々岡真司さん。現在は女子野球・三次ブラックパールズのGMを務めている

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中島大輔

中島大輔Daisuke Nakajima

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L)Tadashi Hosoda、R)KYODO

野茂英雄が史上最多8球団からの1位指名を受けた1989年のプロ野球ドラフト会議。そこで広島から1位指名を受けたのが、NTT中国からプロを目指す佐々岡真司だった。のちにカープを代表する大投手となる佐々岡の「知られざるルーキー時代」には、今では考えられない“驚きの起用法”が待っていた――。《NumberWebインタビュー全3回の2回目/第3回に続く》

◆◆◆

 今から35年前の1990年。近鉄の野茂英雄や中日の与田剛らとともに、プロ1年目を迎えた一人が広島の佐々岡真司だった。

 子どもの頃から夢だったカープに入ると、春季キャンプでプロの洗礼を受ける。北別府学、大野豊、川口和久ら主力たちとは別の組でブルペンに入ったが、一軍半レベルの若手投手たちも質の高い球を投げていたのだ。

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「え? このピッチャーはこんなにすごいボール投げているのに、なんで二軍選手なの?」

 プロの世界は想像以上にハイレベルだった。果たして、自分はやっていけるのか。キャンプ初日で自信をなくした佐々岡だが、毎日必死で過ごしながらアピールし、憧れの人だった山本浩二監督から開幕ローテーションの先発5番手に抜擢された。

デビュー2試合目で投げた“驚きの172球”

 4月12日、横浜スタジアムでの大洋戦でプロ初登板初先発すると、9回自責点2でこの年のルーキー初完投勝利を飾る。

「打線が10得点と爆発してくれたのもありながら、無我夢中で抑えにいきました。勝てたことが少し自信になって、気持ちも楽になった感じがしました」

 続く2戦目は4月18日、ナゴヤ球場での中日戦。4対1でリードの9回、落合博満の2ランなどで同点にされると、延長11回に広橋公寿にサヨナラ本塁打を打たれた。

「正直、1試合目のほうが鮮明に覚えています。確か130球くらい投げているんですよね。2試合目は170球投げているんですか?」

 正確には172球を投げて、延長11回完投負けだった。

「150球以上投げたことはあるけど、170球はなかなかですね。記憶が途切れています(笑)。1年目だし、先発している以上は完投を目指すのは当たり前。今なら100球を超えたら交代が考えられるけど、当時は『100球超えた? それがどうしたん?』と言われる時代でした」

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