“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
38歳で逝去した“恩師”の教えを胸に「…ヨコさんは絶対に空から見てる」名門高校サッカー部のキャプテンが今も筋トレをサボらない理由
posted2025/05/27 11:01

(左)昨年1月に亡くなった横山知伸さん、(右)中学時代に横山さんの指導を受けた帝京長岡高校の桑原脩斗
text by

安藤隆人Takahito Ando
photograph by
(L)2024 RB OMIYA Inc. (R)Takahito Ando
「夢はフィジカルトレーナーになることです」
新潟県・帝京長岡高校のキャプテン桑原脩斗から意外な目標を聞いたのは、今年4月のことだった。
身長は182cmのセンターバック。ユニフォームの上からでもわかる高校生離れした隆々とした筋肉と、最終ラインを束ねる統率力で不動の要を担っている。多くのJリーガーを輩出した北信越の名門高校のDFリーダーとなれば、プロのスカウトたちが熱視線を送っても不思議ではない。だから、将来の目標を尋ねたときの回答に、少々意表をつかれたのだ。
ADVERTISEMENT
「中学時代に指導を受けたフィジカルコーチの方を尊敬していて……。ヨコさんのようになりたいと思ったんです」
桑原が親しみを込めて「ヨコさん」と呼ぶ人物は、昨年1月に38歳の若さでこの世を去った横山知伸さんのことだった。
川崎や大宮で活躍、引退後はフィジカルコーチに
身長184cmを生かした屈強なフィジカルと高い戦術理解度でセンターバックやボランチとして活躍した横山さんは、川崎フロンターレ、セレッソ大阪、大宮アルディージャ、北海道コンサドーレ札幌、ロアッソ熊本、FC岐阜とさまざまなチームを渡り歩き、2020年2月に現役を引退。その軌跡を色濃くするのは、キャリア終盤の2018年オフに発覚した脳腫瘍からのカムバックだった。緊急手術を経て復帰を果たすと、最後の2カ月間はFC岐阜と契約してピッチに戻ってきた。闘病を感じさせない勇姿は、いまも多くのサポーターたちの心に焼きついている。
引退後はフィジカルトレーナーに転身し、札幌のアカデミーのフィジカルコーチに着任。桑原と出会ったのはその頃だった。