“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
38歳で逝去した“恩師”の教えを胸に「…ヨコさんは絶対に空から見てる」名門高校サッカー部のキャプテンが今も筋トレをサボらない理由
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by(L)2024 RB OMIYA Inc. (R)Takahito Ando
posted2025/05/27 11:01
（左）昨年1月に亡くなった横山知伸さん、（右）中学時代に横山さんの指導を受けた帝京長岡高校の桑原脩斗
北海道石狩市出身の桑原は、街クラブから札幌U-15のセレクションを突破。それでも、道内の俊英たちが集まるチーム内のレベルの高さに現実を突きつけられた瞬間は数知れず。桑原が下を向きそうになったときにいつも背中を押してくれたのが横山さんだった。
「最初、僕はヨコさんのことを知らなくて、ネットで調べて『すごい人だ』と思いました。でも、ヨコさんは基本的にコア（体幹を鍛えるトレーニング）をメインにやっていて。僕はそっちよりも（身体を大きくするために）バーベルとか持ってアウターマッスルをつけたいと思っていました。コアって成果がすぐに表れないじゃないですか。当時はまだそこまで深く考えていなかったので、ヨコさんのメニューが物足りなく感じたんです」
ライバルに劣等感を抱く思春期ど真ん中の中学生。反抗する態度を取ったことも一度や二度ではない。だが、横山さんは桑原に問い続けた。
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「コアをつけるトレーニングは地味かもしれないけど、サッカーのいろんな動きをスムーズにしたり、サポートしたりしてくれて、プレーの幅が広がることにつながるんだよ。いつか絶対にやっておいてよかったと思うから」
桑原は半信半疑になりながらも、熱心に寄り添ってくれる横山さんに徐々に心を動かされていった。
盟友・菊地光将が語る“ヨコの素顔”
「ヨコはルーキーの時からずっと自分の筋肉に語りかけるようなやつでした」
こう話すのは、横山さんと同じ2008年に川崎に入団した菊地光将だ。学年は一つ違うが同期として家族ぐるみの付き合いを続けてきた。
「（フィジカルコーチに転身したのは）正直、意外でした。ただ、ヨコは興味があることはとことん調べる熱心なタイプ。現役中も身体のケアや筋トレなどを勉強しながらこだわりを持ってやっていたので、この仕事はヨコには合っているのかなと思いました」
