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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「バウアーと熱血コンビ」で話題のDeNA松尾汐恩が皆に愛される理由は“類まれなコミュ力”…コーチも驚き「誰でも臆せず寄っていけるんです」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2025/05/19 11:01

バウアーとの熱血コンビや手書き作戦チャートなどが話題を呼んでいる松尾汐恩。捕手としての成長ぶりを本人に聞いた
「やっぱり素晴らしいボールが多いので、リードしていて面白いですよね。バウアー自身、自分で考えることはもちろん、こちらのアイディアも汲んでくれて、互いの意見を照らし合わせながらやることができています。本当、あれだけいい球を持っていて勝てないのはこっちの責任だと思いながらやっています」
だからこそ、全体的にボールが緩んだバウアーが6回6失点を喫してしまった13日のヤクルト戦の試合中、誰よりも悔しい表情を浮かべていたのが松尾だった。そしてバットでバウアーを救った。
2人そろっての咆哮の理由
年齢の離れた2人の共鳴。ピンチの場面、ギリギリの攻防で切り抜ける。そこでバウアーが咆哮するのはお馴染みの光景だが、松尾も一緒になってシャウトし小さくガッツポーズしている姿を見たときは驚いた。ルーキーイヤーから松尾を見ているが、あれほどの熱量をこれまで発露することはなかった。そう伝えると松尾はちょっと照れた様子で答えた。
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「いや、2人で話し合いを重ねて、あれだけ熱を持って試合に入ったことはなかったし、やっぱりそれだけ……なんて言うか、自分の気持ちを奮い立たせてくれるのがバウアーの個性なんじゃないかって。だからバウアーの力で僕もあんなことになっちゃったんだと思います」
松尾の秘めたエナジーを引き出す、バウアーとのシナジー効果。いつもすべてが上手くいくわけではないが、ナイスコンビだと思わずにはいられない。
コーチが見る成長と課題
捕手として存在感を示している松尾だが、そのスキルアップについて相川亮二ディフェンスチーフコーチ兼野手コーチは次のように語る。
「キャッチング、ブロッキング、スローイングが(一軍でも)勝負できる状況になってきましたし、本当に成長を感じています。あとはキャッチャーとしての所作というか、ゲームではいろいろなことが起きるので、内外野に指示を出すことも含め、守備の中心としていかにやっていけるのかが課題です。
そのためにはまだ経験が足りないわけですが、ただそれは松尾の責任ではなく、試合に出していない僕らの責任です。あくまでも優勝に必要だと思われる選手が試合に出ているのですが、松尾には経験が少なくともひっくり返せることのできる能力は感じていますし、そこは自分で掴み取って欲しいですね」