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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「バウアーと熱血コンビ」で話題のDeNA松尾汐恩が皆に愛される理由は“類まれなコミュ力”…コーチも驚き「誰でも臆せず寄っていけるんです」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2025/05/19 11:01

バウアーとの熱血コンビや手書き作戦チャートなどが話題を呼んでいる松尾汐恩。捕手としての成長ぶりを本人に聞いた
目上に物おじしないコミュ力
松尾の一番のストロングポイントはどこかと尋ねると、相川コーチは「類まれなコミュニケーション能力」と言い、次のようなエピソードを教えてくれた。
「どんな人にも臆することなく自分から寄っていけるんです。例えば食堂で4人掛けのテーブルに監督やコーチ、大先輩の3人がいるとして1席余っている。そこに松尾は平然と入って行ける。
まわりを見れば同世代の選手とかもいて席に余裕がある。普通、20歳ぐらいだったら話しやすい仲間のところに行くと思うんですが、むしろ松尾は進んで年配の人たちの場に入って行こうとするんです。そこはすごいと思いますね」
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この松尾のコミュ力について、チームの遠藤拓哉メンタルパフォーマンスコーディネーターは次のような見解を述べる。
「どんな状況であっても人を巻き込むことのできる魅力があって、バウアーとのやり取りを見ていてもそれは感じます。対象が誰であれ変わらずコミュニケーションが取れていて、世代としてそこは課題になりやすいところなのですが、彼に関してはプラスというか素晴らしい土台になっていますね」
「なにも考えていないんです」とは言うが…
相川コーチが言っていた4人掛けテーブルの話を振ると、松尾はさもありなんといった表情でこういうのだ。
「いやもう無意識なんですよ。本当になにも考えていないんです」
その口調からは勇気とか緊張とかは微塵も感じられなかった。
「席が空いているし、単にいろいろな人と話したいなって。監督とか長く野球をやってきた人の話は絶対に参考になるし、まあ普段よく話す人と食事をするのもいいですけど、目上の人と食事中でしかできない会話もありますから、そこは自分がこれから生きていく上で財産になるので、いろいろいいものを教えて頂いてもらっています」
外国人選手にも可愛がられる理由
生きた教材に学びたい。その思いが気負いもなく無意識に松尾の足を動かし、自然なコミュニケーションを生んでいる。だからこそ松尾は先輩たちはもちろん、バウアーをはじめ、タイラー・オースティン、アンドレ・ジャクソン、アンソニー・ケイ、ローワン・ウィックなど外国人選手たちからも可愛がられる。