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3連勝のオスカー・ピアストリがマイアミで見せた衝撃的なオーバーテイク…フェルスタッペンを自滅に誘った頭脳的アプローチとは
text by

尾張正博Masahiro Owari
photograph byMcLaren Racing
posted2025/05/09 11:04

マイアミGPの1コーナーで競り合うピアストリ(右)とフェルスタッペン
「相手はマックス。確実に抜けるタイミングまで待つか。それともマックスを『その状況』に追い込むか。どちらの方法を採るかだけだった」
果たして、ピアストリが選択したフェルスタッペン攻略法は、後者だった。
イン側をブロックするフェルスタッペンに対して、ピアストリはアウト側を走行。そしてストレートエンドのブレーキングでフェルスタッペンに「罠」を仕掛けた。フェルスタッペンがブレーキを遅らせることを見越して、自らもブレーキをギリギリまで遅らせて、フェルスタッペンを「その状況」、つまり自滅へと追い込んだのだ。
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ピアストリの罠にはまったフェルスタッペンは、止まりきれずにオーバーラン。ピアストリはそうなることを見透かしたかのように、フェルスタッペンがコースオフするのを待ってから1コーナーへターンインし、自らのマシンにダメージを与えることなく、一発でトップの座を奪い取った。
レジェンドを彷彿させるオーバーテイク
それはまるで赤子の手を捻るかのようなピアストリの完勝だった。しかも、マイアミGPだけでなく、その前のサウジアラビアGPから2戦連続の出来事。フェルスタッペンがチャンピオンになってから、バトルでここまで完敗を続ける姿を見たことはない。
マクラーレンのドライバーによる3連勝は97年最終戦から98年第2戦のミカ・ハッキネン以来、27年ぶりの快挙。同一シーズンでの達成に限ると、開幕4連勝した91年のアイルトン・セナまで遡らなければならない。それほどまでにマイアミでのピアストリのオーバーテイクは衝撃的だった。

