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あの井上尚弥が伏兵カルデナスに…現地ラスベガスで記者が見た“信じられない光景”「KOで終わらせないと…」じつは試合2日前にあった“激闘の伏線” 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2025/05/06 17:01

あの井上尚弥が伏兵カルデナスに…現地ラスベガスで記者が見た“信じられない光景”「KOで終わらせないと…」じつは試合2日前にあった“激闘の伏線”<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

ダウンを喫した直後のインターバルでの井上尚弥。真剣な表情で父・真吾トレーナーの指示に耳を傾ける

「井上尚弥に会いにきた」世界的なレジェンドたち

 井上にとってアメリカの大会場でメインイベンターを務めるのは初めての経験である。2017年9月、WBOスーパーフライ級王座の防衛戦でカリフォルニアのイベントに出場した際は世界的なスター選手ではなく、当然ながらメインイベンターではなかった。バンタム級王者となった20年10月、21年6月にはラスベガスで試合をしたものの、コロナ禍の制限が残るイベントであり、決して「ビッグ」ではなかった。

 今回はアメリカの大手プロモーション、トップランク社が井上をアメリカに招きたいというたっての希望で実現した試合だった。アメリカのファンが、メディアがモンスターを待ち望んでいたのだ。象徴的なシーンを試合2日前の記者会見で見た。

 会見場に現れたのはかつて「怪物」と呼ばれたルーベン・オリバレス。1960年代から70年代にかけて日本人選手とも多く対戦し、バンタム級とフェザー級で世界を制したレジェンドである。そのオリバレスが所用でメキシコからロサンゼルスに来た際、ラスベガスで井上の試合があると知ると「ぜひ会いたい」と言い出したという。78歳の元王者は井上に会うためだけに車でラスベガス入りをし、井上とツーショット写真に収まり、満足して翌日メキシコに帰っていった。

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 ほかにもマルコ・アントニオ・バレラ、フェルナンド・バルガスといった往年の名選手がうれしそうに井上と肩を組んでいる姿が印象的だった。ひと昔前まで、海外のVIPが現役日本人ボクサーをどれだけ知っていただろう。井上は認知されているのみならず、ツーショット写真を自慢したくなるような、レジェンドたちが一目置く存在だったのである。

「今回はKOで終わらせないといけない」

 井上自身、アメリカでの受け止められ方について「期待をものすごく感じているし、そういったところも一つ一つ対応していきたい」と十分に意識していた。できるだけファンにサインをする姿からは、アメリカでもスターとして立派に振る舞わなければいけない、という強い意思を感じさせた。

 そして試合への決意をこう述べた。「今回はKOで終わらせないといけない試合だと思っている」。アメリカでメインイベンターを務める意味、そして相手が無名のカルデナスということを考えれば、期待されているものは明白だったのである。

<続く>

#2に続く
井上尚弥はなぜ“危険な殴り合い”に身を投じた? 現地ラスベガスのリアルな声「イノウエがボクシングの週末を救った」激闘カルデナス戦“本当の意義”

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