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「お前には価値がある」敗者・比嘉大吾が言葉に詰まった“ある瞬間”…増田陸に軍配“微妙判定”に漏らした本音「納得いってます。倒せなかったので」
posted2026/07/22 17:21
最終12ラウンド、激しく打ち合う増田陸と比嘉大吾。両陣営ともに勝利の手応えを得ていた激闘は、スプリット判定で増田に軍配が上がった
text by

渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
WBAバンタム級王座決定戦が7月20日、両国国技館「U-NEXT BOXING.6」で行われ、同級2位の比嘉大吾(志成)は同級1位の増田陸(帝拳)に1-2のスプリット判定で敗れた。4戦連続で世界タイトルにわずかに手の届かなかった比嘉は試合後、「続けたいですね。続けられるのであれば」と現役続行に意欲を示した。比嘉はどんな思いで異例の4試合連続世界タイトルマッチに挑み、いかに敗れ、敗北から何を感じ取ったのだろうか──。
涙の比嘉大吾が絞り出した言葉
比嘉の目は赤く、そして潤んでいた。比嘉はどんな試合のあとも、つい先ほど激闘を終えたのが嘘のように飄々と、ときに冗談も交えながら記者会見に応じるのが常だった。しかし、この日の姿はいつもとはあきらかに違っていた。
会場から沸き起こった大吾コール、そしてボクシングへの思いに質問が及ぶと、比嘉は感極まって言葉を失った。隣に座る野木丈司トレーナーが「お前には価値がある」と耳元でささやいても、比嘉はしばし涙をのみ込み、そしてようやく言葉を絞り出した。
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「まあ、入場のときから、やっぱ、泣けましたね。あんないっぱい応援団もいて、1年前負けて……。4月まで何もない生活をしてきたのも分かってるので。ただ、酒飲んで、遊んで、ずっとやっていたら飽きるんで……。やっぱボクシング、ちょっと休んでから続けると思いますね。真剣にやって負けたら悔しいのもあるし、この会場に戻ってこられたことで、入場のときもうれしかった。4月から復帰すると言って、野木さんとも話し合って、8カ月も離れていたのにこうやってサポートしてくれた。今回はみんなの支えがあったので4カ月で仕上げられた。それで結果が出なかったのは、残念かなと思います」
昨年7月、WBA王者アントニオ・バルガス(米)に挑むもドローで王座獲得ならず。3試合連続で世界タイトル獲得に失敗した比嘉は試合後、引退を宣言してボクシングから離れたものの、今年に入って再起を決意した。その矢先、オファーされたのが世界初挑戦の新鋭、増田とのWBA王座決定戦だった。
一撃必殺の左ストレートを武器とする長身サウスポー、増田との対戦について、比嘉は戦前「うれしいわけがない」と率直に胸の内を明かしていた。身長とリーチで劣る比嘉は距離を詰めなければ勝てない。そして距離を詰めようとすれば、上質な日本刀の切れ味を自負する増田の左が飛んでくるのだ。誰の目から見ても難しいミッションであることは間違いなかった。

