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“プロ注目二刀流球児”がアメリカ高校球児100人にアンケート「勉強と野球の両立どうしてる?」「米国の大学に行って日本球界に貢献したい」 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2025/05/05 17:02

“プロ注目二刀流球児”がアメリカ高校球児100人にアンケート「勉強と野球の両立どうしてる?」「米国の大学に行って日本球界に貢献したい」<Number Web> photograph by 本人提供

同志社国際のフォーク黒田レイモンド豪。中高一貫校に通う二刀流選手はグラウンド外の野球研究でも注目される

 花巻東高の佐々木麟太郎もスタンフォード大に進み、ここからMLBを目指しているが、レイモンドはこの学校のサマーキャンプに参加する高校生が「何を重視しているか?」を聞いたのだ。

異例だった“アメリカ高校球児のキャリア取材”

 アンケートによれば彼らの90%以上が「勉強を重要」と答えているが、それに加えて過半数が「プロ野球選手やスポーツに関連する職業」に進みたいと答えていた。

 レイモンドは研究の結語として、「本調査の回答者の多くが、スカラーアスリートとして野球と学業を両立することがこの先の人生で自分が成長するうえで重要だと認識していた」としている。

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 この指摘は鋭い。

 アメリカ合衆国の大学スポーツを統括するNCAA(全米大学体育協会)は、大学生アスリートにスポーツと学業を両立させることを求めている。どれだけ優秀な選手でも、学業の出来が悪いと試合から排除される。日本でもNCAAに倣ってUNIVAS(一般社団法人大学スポーツ協会)が設立され、大学と競技団体により「卓越性を有する人材」を育成する方向性が示されたが、まだまだアメリカには及ばない。

「日本野球学会」での高校生の発表はセイバーメトリクス、バイオメカニクス、野球人口減少、女子マネージャーの役割など多岐にわたっている。一方でレイモンドのような「野球選手のキャリア」をテーマとし、しかもアメリカでの取材に基づいた発表は初めてだった。

 主催者もこれを高く評価し、彼の発表は高校生の部の「最優秀賞」を受賞した。ただし飛行機の時間があったため、レイモンドは表彰式に姿を見せなかった。

アメリカで学んで、日本球界に貢献したい

 そんな経緯もあって、今回の取材ではアメリカでの日々や今後についても聞いてみることにした。

「アメリカでは『ドライブライン』に寄って、投球動作をチェックしてもらい、アドバイスもしてもらいました」

 サラリと言うが、大谷翔平も通うトレーニング施設「ドライブライン」に高校生が乗り込んでアドバイスを貰うなんて、ただものではない。レイモンドは自身の将来について、どのように考えているのだろうか。

【次ページ】 野球選手としての成長も著しいだけに

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