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野球善哉BACK NUMBER
いよいよ故障から復活へ「2024年のスーパールーキー」西武・武内夏暉が常に動じない理由…ファンだった柳田悠岐を抑えても「あまり吠えたくない」!?
text by

氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byYuki Suenaga
posted2025/05/05 11:04

武内夏暉がピンチになっても抑えても変わらずにいられるメンタルの秘訣に特別インタビューで切り込んだ
「柳田さんと対戦できるのは楽しみでした。調子がすごく良かったというのもあったので、自分の力がどれだけ通用するか、思い切っていくしかないという気持ちでした」
そんな相手であればなおさら、抑えたときには感情が出てしまって当然だろう。しかし武内はごく普通の様子でベンチに戻っていった。気持ちは昂らなかったのだろうか?
「ランナー三塁というピンチでしたし、興奮はしていましたよ。気持ちも昂ってはいましたけど、でも、あまり昂りたくないというのはあるんです。(試合が)完結するまでは吠えたくないというか。
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気を抜かないじゃないですけど、ちょっとホッとしてしまう自分もいるので。ピンチで抑えても、次もあるのであんまりホッとしないように、と思っています」
単に「メンタルが強い」とも違う
自分の中から湧き出てくる感情を否定はしないが、外からそう見えるようにはしたくないというのが本音のようだ。時として、メンタルは「強い」か「弱い」と単純に分けられてしまうものだが、武内を見ていると単に強心臓というよりも、自己コントロール能力がずば抜けているのを感じる。
ピンチで動揺しないわけも「自分を落ち着かせようと考えるよりも、集中しようと思う部分のほうが大きい」という言葉に集約される。
プロという舞台で、それも1年目から自身を制御できる能力があるのは特筆すべき点だろう。こういう目立つ舞台は好きなのかというと「嫌いな方」という。人生で一番緊張した時はと問えば、大学2年で全国大会に初先発した試合だというが、そこでのパフォーマンスは格段に良かったという。プロでも初登板は緊張したようだが、7回1安打無失点の圧巻のピッチングだった。