- #1
- #2
野球善哉BACK NUMBER
「西武の武内クラス」なんて簡単に言えない! 武内夏暉23歳が“普通の新人王”でなく“スーパー”なワケ…チームが不成績で「逆にいい投球」に!?
posted2025/05/05 11:03

昨年チームが91敗を喫するなかで10勝を挙げ新人王。武内がいかに「とんでもない投手」であるかを本人の言葉で探った
text by

氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Hideki Sugiyama
2024年の秋、ドラフト会議を間近に控え、ある記事を見てちょっとした違和感を覚えた。ドラフト1位候補の金の卵を評価する記事のなかで、ある投手の評に「西武の武内ほどの完成度」と記してあったのだ。
2024年の「西武の武内」がどれほどのピッチングを見せたのかを知ってのものなのか。気軽にたとえたのだとしたら、プロ入りもしていない投手に対しては重すぎる十字架を背負わせることになるぞ、と思った。それとももしかすると世間は、「西武の武内」を1年目から二桁勝利を挙げて新人王を獲得した何人もの投手の一人、としか見ていないのか?
プロ入り1年目にして21試合に先発し10勝6敗。91敗という記録的大敗を喫したチームにあって二桁勝利を挙げただけでもとてつもないことだが、そうした誰もが知る数字以上に、そのピッチング内容で衝撃を与えたのが2024年の「西武の武内」だった。
プロ初シーズン2カ月目にして月間MVP
ADVERTISEMENT
西武の武内——。
つまり武内夏暉はルーキーイヤーの2024年、4月3日のオリックス戦に初登板初先発を果たすと、いきなり7回を投げて被安打1、無失点の圧巻のピッチングを見せてプロ初勝利を挙げた。
3試合連続でクオリティスタートを達成し、迎えた5月3日の王者・ソフトバンク戦でも8回を4安打無失点のピッチングで2勝目。5月は都合4試合に先発して3勝0敗、防御率0.63をマーク。プロ入りからシーズン2カ月目にして早くも初の月間MVPを受賞したのだった。
“ローテーションの一角を担う好投手”のレベルではない。リーグを代表するような、支配的なピッチングを見せる投手の域とも言えた。かつての松坂大輔やダルビッシュ有、近いところなら、2021~23年の山本由伸のような。
「武内級」=「とんでもない投手」ということ
6月に新型コロナウイルス感染症を患ってから多少のコンディション不良は生じたものの、シーズン終盤にはプロ初完封を記録。武内は1年目のルーキーとは思えないほどの質の高いボールを投げ続けていた。この投球を見ていれば、ドラフト候補の形容に「西武の武内ほどの」というのは“とんでもない投手”と評価しているということだ。
それほど2024年の武内は凄まじかった。