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「絶対的な自信がありました、でも…」原口元気が31歳で初めて味わった“挫折”「このままじゃ終われない。必要なのはやっぱり結果」《NumberTV》
posted2025/04/24 11:04

カタールW杯代表“サプライズ落選”を経験した原口元気がNumberTVで自らの「挫折地点」について明かした
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Kiichi Matsumoto
【初出:発売中のNumber1118・1119号[挫折地点を語る]原口元気「W杯落選からもがき続けて」】
「自分ならやれる」絶対的な自信
浦和レッズからヘルタ・ベルリンに移籍した14−15年シーズン前半。球際で勝ち切れない、走り勝てない、守備も不十分な自分のウイークポイントが目立った。このままだと通用しないと己に言い聞かせ、「走 力、守備力、対応力」の3つを重点的にかつ迅速に向上させた。ブンデスでの地位を築くきっかけをつかんだその先に、あのベルギー戦のゴールがあった。さらに成長サイクルの回転数を上げていけば、世界のトップたちを相手にしても勝てると信じた。
ロシア後はハノーファーで10番を背負ってシーズンにわたって奮闘し、21−22年シーズンからはウニオン・ベルリンでプレー。チームでも日本代表でもコンスタントに試合に出て、両立を図っていく。ポジションはインサイドが主戦場となり、スペイン代表のレジェンド、カルレス・プジョルらを指導してきたスペイン人の分析コーチに依頼して、個人戦術でも幅を広げられていく実感を持てた。
カタールでドイツ代表と同じグループに入ることが決まると興奮を隠せなかった。ドイツでずっとプレーしてきただけにこれも運命だと思った。最高の準備をしてきた自負もあった。
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「自分なら大丈夫、自分ならやれるっていう絶対的な自信がありましたから。でもこれだけやっても到達できないものがあるんだって、大きく(自信が)崩れて......。かなり引きずってしまうことにはなりました」
このままじゃ終われない
31歳で初めて口にした挫折の味。たまらなく苦かったに違いない。それでも彼は吐き出すことも、背を向けることもしなかった。チームに負傷者が出たら、代わりに呼ばれてもいいようにとしっかりとトレーニングを続けていたことは知られていない。伸ばしても届かない現実を突きつけられても、彼は最後の最後まで手を伸ばそうとした。これまでの努力に一分の隙すらないからこそ、信じることを諦めなかった。
今なお原口は必死にもがいている。
シュツットガルトを最後に10年間プレーしたドイツを離れ、昨秋古巣の浦和レッズに復帰した。アジャストに時間が掛かっているとはいえ、必死に手を伸ばそうとしていることは十分に伝わってくる。
「崩れてしまった自信を取り戻さなきゃいけないし、このままじゃ終われない。この浦和ではキャリア的にも自分が引っ張っていかなきゃいけない。今それができていないことも凄く苦しい。必要なのはやっぱり結果。それこそが自分も蘇らせてくれると思うんです。そのための努力を変わらずやっていくだけ。最後の挑戦として、やり甲斐を凄く感じています」
6月には規模が拡大された米国開催のクラブワールドカップにも出場する。積み上げた努力は噓をつかない。“逆襲の元気”のストーリーは、これからだーー。
<前編から続く>
【番組を見る】NumberTV「#19 原口元気 まさかの落選、もがき続ける日々。」はこちらからご覧いただけます。
