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「巴投げを開始早々から…」体重無差別でも2勝、最軽量級の角田夏実が体現した“柔道のロマン”…代表監督が評価した「彼女にしかできない役割」

posted2025/04/22 11:01

 
「巴投げを開始早々から…」体重無差別でも2勝、最軽量級の角田夏実が体現した“柔道のロマン”…代表監督が評価した「彼女にしかできない役割」<Number Web> photograph by AFLO

4月20日に“体重無差別”で行われた全日本女子柔道選手権

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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 揺れた。さまざまなものが揺れた。

 4月20日、柔道の全日本女子選手権が行われた。階級別の全日本体重別選手権と異なり、無差別で実施される。日本一を決める大会は、いつになく注目を集めることになった。大会前日には、チケットの売れ行きがよかったことから全日本柔道連盟が会場での当日券販売は実施しないことを告知したのも、注目の大きさを物語っている。

角田夏実が体現する“柔道のロマン”

 その中心にいたのは、パリ五輪48kg級金メダリスト、角田夏実。誰とあたるにしても自分よりも階級が上となる最軽量級からの挑戦は、注目を集めるに不思議はなかった。何よりも柔道が持つロマンである「小よく大を制す」「柔よく剛を制す」の観点からも、期待を集めた。

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「(パリ)オリンピックに出る前から、やっぱりこの大会に挑戦してみたい気持ちはあったので」

 大会を前に出場した理由をこう語るとともに、6月の世界選手権を辞退した理由も明かした。

「(2月の)グランドスラム・バクー大会に出た時に、少し巴投げの感覚のずれを感じていて、世界選手権までに自分の柔道が作れるかという部分、この大会(全日本女子選手権)に出たい思いの部分、両方をとるとどちらも中途半端になってしまうんじゃないかなと思ったので、この大会を選びました」

 今回に限らず、2020、2021年と2度出場しているように、以前から無差別での大会である全日本女子選手権に意欲を示してきた。パリ五輪後の大きなモチベーションでもあった。

体格差があっても仕掛け続けた“巴投げ”

 いざ大会を迎える。

 1回戦では登録体重90kgの鋳山真菜実と対戦。試合時間が1分を過ぎたあたりから、角田の代名詞と言える巴投げを果敢に仕掛けたほか、やはり得意とする関節技を狙う。終始攻勢に立ち、旗判定で3-0、優勢勝ちを収める。

【次ページ】 監督が明かす角田の魅力「彼女にしかできない役割」

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