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首位打者・小園海斗は「まだ言えません」巨人を3タテして首位に立ったカープに見える小さくとも着実な「変革」の成果 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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posted2025/04/14 11:02

 首位打者・小園海斗は「まだ言えません」巨人を3タテして首位に立ったカープに見える小さくとも着実な「変革」の成果<Number Web> photograph by JIJI PRESS

巨人との3連戦で計8安打を放ち、打率.418と首位打者を走る小園

 一方の守備ではすでにチーム失策数の半分にあたる2失策を記録し、記録に残らないミスもある。6日のDeNA戦では9回に守備固めを出され、開幕から続いていたフルイニング出場は、わずか8試合目で途切れた。

「守備で迷惑をかけている分、バットで取り返します」

 今季は三塁だけでなく二塁も守る。複数ポジションをこなすことも主力として求められる成長の一環だ。

「ガツガツ」やって残した結果

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 小園だけではない。主力の離脱によって存在感を増している若手もいる。開幕前は二俣翔一の陰に隠れていた田村俊介が、自らのイメージを覆すプレーを見せている。

 5日のDeNA戦で延長11回に代打でライトスタンドへサヨナラアーチを描き、翌6日には初めて4番で起用された。結果を残したことで、左腕の大野雄大が先発した10日の中日戦でもスタメン出場。昨季は左投手に対して18打数1安打、打率.056と苦戦したが、今季は途中出場した3月30日の阪神戦で左腕・及川雅貴からレフト前ヒットを放ち、10日も第1打席でチーム初安打となるライト前ヒットを放った。苦手としてきた左腕攻略はレギュラー取りへの大きな一歩となる。

 田村にとってはようやく訪れたチャンスだ。

 春季キャンプではアピールに失敗し、離脱の危機もあった。序盤に痛めた左手は、実は指の骨が1本折れていた。それでも田村はトレーナーに頭を下げて数日で練習に合流し、グラウンドに立ち続けた。昨季まで弱さを指摘されてきた精神面での成長を示した。今季初スタメンとなった4日のDeNA戦での決勝点の内野安打は、ヘッドスライディングで勝ち取ったもの。そんな“らしくない”姿も、田村の変化のひとつといえる。

「若い選手がガツガツやっていかないと勝てないと思う。ガツガツいきたい」

 席を空ければ誰かに奪われる。それがプロの世界だ。奥歯を噛みしめて勝ち取った開幕一軍の座があるからこそ、今のチャンスがある。

【次ページ】 エースの自覚

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