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[下剋上の舞台裏]熱き星たちを支えた若きコーチの挑戦

posted2025/04/07 09:00

 
[下剋上の舞台裏]熱き星たちを支えた若きコーチの挑戦<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

左から大原慎司、田中浩康

text by

佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

PROFILE

photograph by

Takuya Sugiyama

膨大なデータを読み解き、最適な守備を模索する田中浩康。「守り勝つ野球」を宣言し、投手陣を奮い立たせた大原慎司。昨季、ジャイアントキリングを成し遂げた舞台裏には異色の道を辿ってきた二人の若きコーチの献身があった。

 最終回の守備につく選手の姿を、内野守備コーチの田中浩康は万感の思いで見守っていた。2024年11月3日、日本シリーズ第6戦。ソフトバンクを破り頂点に立つまで、アウト3つに迫っていた。

 3年前、一軍に昇格した田中コーチは、就任の挨拶で選手にこんな言葉を伝えた。

「日本一の瞬間“クロージング・ラインナップ”に名を連ねて守っている姿を想像して準備していこう」

 重圧がかかる試合の最終回でも守り切れる強いメンタルを培って欲しい。そんな思いを込めた“クロージング・ラインナップ”。まさに今、その瞬間が訪れている――。

 セ・リーグ3位からクライマックスシリーズ(CS)を勝ち抜き日本一へ。誰も予想しなかったジャイアントキリングのシナリオを、首脳陣は密かに描いていた。

 10月2日、3位が確定するとすぐに短期決戦を勝ち抜くことを標的にマインドチェンジ。三浦大輔監督以下、コーチとアナリストが各部門の弱点を炙り出し、対策を話し合った。内野守備において田中コーチがキーマンと見定めたのは、セカンドの牧秀悟だった。

「まず阪神に勝つために、甲子園のグラウンドに備える必要がある。核となるのは牧。ファーストの準備もさせて欲しいと監督に提案しました。短期決戦をミスなく守り抜く。執念にも似た思いでした」

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