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「中学校を回っても、学校に入れてもらえないことも…」センバツで話題沸騰 沖縄・エナジックスポーツ高“創部3年で甲子園出場”までの波乱万丈 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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posted2025/03/26 17:01

「中学校を回っても、学校に入れてもらえないことも…」センバツで話題沸騰 沖縄・エナジックスポーツ高“創部3年で甲子園出場”までの波乱万丈<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2回戦で智弁和歌山には敗れたものの、4安打2盗塁と大当たりだった1番・イーマン琉海を中心にノーサイン野球の威力を見せたエナジックスポーツ

「なんでこんなに注目が集まるのかな? と思っているだけですよ。取り上げてくれるマスコミが多くて嬉しいです」

 高校のカラーが旧来に比べて特殊であるだけで、神谷の指導方針は時流から大きくかけ離れているわけではない。むしろ、現代の高校生と近い距離にいると言っていい。

代名詞となった「ノーサイン野球」

 代表例を挙げれば、エナジックスポーツの代名詞ともいえるノーサイン野球だ。

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 盗塁やバントなどの戦術の遂行に際し、監督がサインを出さずに選手の判断に委ねる。これを採用していることについて、神谷は「もともと、私が選手の自主性を大事にしていることもあるんですけどね」としながら、このように想いを語る。

「選手にはそれぞれ個性がありますから。自分たちで野球を観察して、力を磨いていかないと。そこがブレてしまったら試合で何もできなくなってしまいますからね」

 選手目線で、おおらかに見守る。

 69歳の監督が率いるチームは、公約通り3年で甲子園出場を果たした。そして、全国の舞台で初勝利を挙げたことで、新たな「沖縄の力」も証明できたはずだ。

 エナジックスポーツとともにセンバツに出場した沖縄尚学の監督である比嘉公也は、「沖縄全体がレベルアップしているかどうかはわかりませんけど」と冷静な知見を示しながら、このような意見を述べていた。

【次ページ】 「沖縄の選手だけで甲子園を目指したい」

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