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「不快に思った写真もありました」ビーチバレーの水着に“選択肢がなかった”頃の本音…ビーチの女豹と呼ばれた浦田聖子を救った「出産と部活指導」
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吉田亜衣Ai Yoshida
photograph byKazuaki Matsunaga
posted2025/03/17 11:03

「ビーチの女豹」の愛称で親しまれた浦田聖子さん
「もし盗撮が気になるのであれば…」浦田の提言
否応なしに気持ちを切り替えるしかなかった。それ以降、選手たちの肖像権を守るべく大会報道の規制も厳しくなったことでそのような事例は見られなくなった。しかし、会場内では選手の肖像権を侵害するような盗撮行為や画像の拡散は根絶できていないのが現状だ。
「自由になったからこそ、ユニフォーム選択の際、何に重きを置くか、人それぞれだと思います。ペアとよく話し合って自分たちがいい状態で動けるものを選んだり、もし盗撮が気になるのであれば、撮影の標的にならないようなかたちのウェアを選択すればいいのではないでしょうか」
もし現役時代にユニフォームが自由化されていたら、水着を選択していたのだろうか。
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「水着を着るか、着ないか、ですか? いろいろやってみたいと思う性格なので、きっとどっちも着用していたと思います。タンクトップやTシャツ、ショートパンツだったとしても、いろいろな方を巻き込んで機能性を追求してたかもしれません。例えば、ジャンプに適しているウェア素材などを探していたかも」
「子どもの存在はそんな自分を救ってくれました」
道を切り開くため、さまざまなアイデアを出しチャレンジしてきた浦田は、現在子育てをしながら、幅広く活動している。
「結婚して子どもを産んだ後も現役を続けようと思っていたんです。引退という区切り、ケジメをつけていなかったので。自分の経験を伝えていかないといけない、という気持ちもあったし、もう一度国際大会に挑戦したいという気持ちもありました。いろんな想いが沸々としていたんですけど、子どもの存在はそんな自分を救ってくれました」
出産後、しばらく育児に専念していた浦田は、長女が小学校に上がる頃、バレーボールの指導の道に足を踏み入れた。
「今、部活動が外部指導に切り替わっている中で、中高生のバレーボール部の外部指導コーチとしてお声がけいただくようになりました。楽しさを伝える1日体験会と比べると、中長期的なスパンでの指導はわけが違いますね。最初は自分の引き出しのなさもあり壁にぶち当たりましたけど、ひとりひとりの目標や持っている能力も違うし、伸びる方法も成長度合いも違う。生徒さんが持っている力を引き出して成長へ導くにはどうしたらいいか。まだまだ勉強中ですけど、自分がこれまでやったことのない練習方法も思いつくし、やりがいを感じるようになりました」