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水原一平被告の給料は“本当に安かった”のか? 大谷翔平から信頼「水原氏の実力はあった」「あまりにもったいない…」米野球界で働く日本人の本音
text by

水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byJIJI PRESS
posted2025/03/07 11:01

4年9カ月の拘禁刑などを言い渡された水原一平元通訳
実際の年収は? 1年目「1280万円」
だが検察は捜査の結果、これらの主張をことごとく否定した。高額家賃が辛かったとしているが、実際には家賃は大谷のデビットカードを無断で使い支払っていたことが判明。妻の日米往復フライトの費用も、常に大谷のお金ですべてファーストクラスのチケットを購入していたと捜査当局から指摘されている。精神的、経済的に追い込まれてギャンブル依存症に陥ったのが罪を犯した理由だと主張する水原元通訳に対し、検察側は「多額の窃盗はギャンブル依存症ではなく強欲さによるもの」と主張し、検察の主張通りの量刑となった。
水原元通訳自身の判事宛ての手紙によると、球団から通訳としてもらっていた給料は1年目の2018年が8万5000ドル(1280万円)。2019年からやや昇給し2021年まで年8万7000ドル(1310万円)、2022年は9万9611.16ドル(1490万円)、2023年は25万ドル(3750万円)。これ以外に大谷個人からも手当が出ていた上に、ドジャースに移籍した2024年の給料は50万ドル(7500万円)が予定されていたという。球団が雇用する通訳の給料としては破格の額だ。
「非常にいい待遇ですよね。(手当などを含めれば)普通の通訳の10倍くらいあるのかなと。そういう感覚の数字ですね」
対して米独立リーグの給料は…
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そう話す吉田さんの米独立リーグでのコーチとしての給料は、水原氏の通訳最終年に予定されていた金額の約25分の1だという。
「月2500~4500ドル(37万5000~67万5000円)で、シーズン中だけなのでそれが5.5カ月です。選手は格が低ければ月1400ドル程度、格が上がれば3000~4000ドルですかね」
吉田さんが米国野球界に飛び込んだのは2009年。米球界では選手とコーチを含めもう16年になる。甲子園出場歴のある兵庫県の社高校出身で、卒業後はプロとして野球を続けることを希望したが、当時のプロ野球は育成枠もなく、ドラフトは無理だと諦めた。兵庫県のクラブチームで数年プレーしたのち、何のつてもなく単身で渡米。いきなり球団を訪ねては、入団させてほしいと頼み込む、まさに体当たりの挑戦だった。そして現在は、独立リーグでコーチ歴9年。2024年のシーズンは、米独立アトランティックリーグのサザンメリーランドブルークラブズで打撃コーチを務めていた。元メジャーリーガーも多数プレーしているリーグで、レベル的にはAAA(マイナー最上位)よりやや下、AAより上くらいだという。
米球界を揺るがせた水原元通訳のスキャンダルは、選手や球界で働く人たち、特に日本人スタッフにはどう映ったのか。