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水原一平被告の給料は“本当に安かった”のか? 大谷翔平から信頼「水原氏の実力はあった」「あまりにもったいない…」米野球界で働く日本人の本音
text by

水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byJIJI PRESS
posted2025/03/07 11:01

4年9カ月の拘禁刑などを言い渡された水原一平元通訳
「私はチームのコーチという立場なので、通訳とはちょっと感覚が違うのかなという気はします。(水原氏は)球団が雇った通訳であっても、大谷さん個人を直接サポートするという役割だったと思います。どうしてあんなことになったのかは想像がつかないですね。もし自分が何億円も負けていたら、たぶん仕事にも集中できないと思います。あれだけ多額になったのは違法賭博だったからですけど、なんで違法なものに手を出したのか。そこは理解できないです」
米球界と賭博の関係
メジャーでは今年に入って、審判が友人と合法のスポーツ賭博アカウントを共有していることが発覚したが、合法とはいえ友人が野球に賭けていたため、その審判がクビになったということがあった。賭博は米球界に近い存在なのか。実際に周囲で耳にすることはあるのだろうか。
「ないですね。本当にごく一部ではないかと思います。普通に毎日、野球をしていたら誘われることもないですし、誰かがやっているとか耳にしたこともないです」
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吉田さんは独立リーグでコーチをする傍ら、オフシーズンには代理人業をしているという。日本の選手を米独立リーグのチームに売り込み契約してもらう、あるいは米独立リーグでプレーしている北米や中南米選手を日本のチームに紹介し契約をもらうという仕事だ。「自分はコーチの方が向いている」というが、コーチの仕事だけでは到底食べていけない。
独立リーグのコーチ、待遇は?
「代理人が儲かるかといえば、そういうわけでもないです。日本の選手をアメリカ球界に送る場合、P1ビザというものが必要なんですが、これを取るのは簡単ではないんですよね。NPBで実績がある選手なら問題なく取れますが、日本の独立リーグでプレーしていた選手だと、アメリカ人は日本の独立リーグがどれくらいのレベルなのかわからないので、その選手が本当にアメリカでプレーする実力があるのか懸念されるということはあります」
独立リーグのコーチと代理人の仕事で、生活は十分やっていけるのだろうか。特にここ数年の米国はインフレが激しく、物価高がすさまじい。
「シーズン中は、家賃がかからないんです。選手もコーチも、ホストファミリーの家にお世話になるので。シーズン中は家賃を払わなくてもいい。でも、自分が適切な給料をもらっているとはまったく思ってないですね。自分が積んできた経験やどれだけの責任感を持って取り組んでいるかということを考えると、金額的には到底足りないですよね。月に1万2000から1万4000ドルはもらっていいのかなと思っています。ただ、経験を積ませてもらっているので、ボランティアのつもりでやってきました」
吉田さんだけではない。米野球界には、野球が好きで野球界で仕事をしたくて収入にこだわらず働く人たちがたくさんいる。彼らの多くはその仕事を「ドリーム・ジョブ」と呼ぶ。野球が好きでたまらないからだ。