2024年M-1・連続インタビューBACK NUMBER
「あの瞬間、相方をリアルに殺そうと思いました」M-1本番でまさかのアクシデント…11歳差コンビ、ジョックロックが語る履歴書「ボクは4回解散しています」
text by

中村計Kei Nakamura
photograph byTadashi Hosoda
posted2025/03/09 11:01
結成2年半でM-1決勝初出場となったジョックロック。福本ユウショウ(ツッコミ、ネタ作り担当、左)とゆうじろー(ボケ担当)
福本 「僕がもっとおもしろくなります!」って。
ゆうじろー 出ちゃいましたね。審査員から2人続けてマイナスなことを言われたので。あのとき、ニューヨークの屋敷(裕政)さんの顔が浮かんでたんですよ。
――伝説の「最悪や!」ですね。2019年の決勝で審査員だった松本人志さんに、やはりネガティブな指摘をされ、屋敷さんが思わずそう叫びました。ニューヨークはあれをきっかけに売れっ子になったとも言われています。
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ゆうじろー このまま終わったら、俺らの印象、最悪やなと思って。差し込んだろうと思ったんです。
福本 そうやったんや。でも、あれはよかったですね。今後にも使える一手になるんで。こいつがギャグをやって滑ったら、「全然、おもしろくなってないやん」って落とせる。さすがにそれを1年も続けたら、まだ、おもろないやんって言われちゃいますけど。
「ボクは4回解散している」
――ゆうじろーさんはR-1も出続けているんですよね。
ゆうじろー 5回ぐらい出てます。でも、まだ一度も1回戦を突破したことがない。
福本 僕は別に出んでええと言ってるんですよ。なのに本番前日、「まだネタができてない!」とか言って騒いでる。僕はピン芸人をちゃんとやっていた時期があるので、なめやがってと思ってます。
ゆうじろー もうやめますわ、って言ってたんですけど、出ないわけにもいかなくなって。おもしろくならないといけないんで。
――確かに福本さんはピン芸人っぽい雰囲気を漂わせていますよね。でもR-1では3回戦の壁を破れなかったんですよね。
福本 ピンでウケを取るのって、めちゃくちゃ難しいんです。だから、漫才師とかを見ていて、俺がコンビを組んだら絶対に行けるみたいな感覚は持っていました。
――コンビになると、どう違うんですか?
福本 僕だけだとアクが強い部分があって。こいつがいてくれるとポップな部分を担当してくれるんで、見やすさがぜんぜん違ってくるんです。初めてこいつとやったときも、桁違いにウケたんで。
ゆうじろー 僕はそのときまだ芸歴3年目くらいで、それまで4回くらい解散してたんです。あんなにウケたことなかったんで、こんないい人はいないと思いました。
福本 4回目くらいのライブで「組んでください」って言ってきたよな。
ゆうじろー ネタ作りに対する絶大なる信頼があったんで。100パー書いてきてくれて、僕が「ここはこの方がいいっすね」って言うと変えてくれたりする。僕の負担が1割もない。なのに、ウケる。
福本 ほんま、うらやましいな。ネタを書かないでいい人生なんて。楽しいだけや。
ゆうじろー そうなんです。いちばんしんどい部分をやらないでいいんで。
(写真=細田忠)


