テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「オオタニ、HR打ったね」隣の米国人記者がスマホ撮影…カオスな大谷翔平ドジャース取材現場「報道陣50人超。vs菊池雄星の質問にたどり着けず」
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byNanae Suzuki
posted2025/03/05 17:00

MLB開幕に向けて準備を進める大谷翔平。ドジャースキャンプの取材現場はどのような雰囲気になっているのか
日米報道陣は至って冷静で、無言のままスコアシートを書き進める記者もいれば、「打ったね」と小声で呟く記者がいる程度だった。大谷の偉業を見すぎて感覚が麻痺してしまっているため、私を含めリアクションは薄めだ。
一方で番記者ではない左隣の米国人記者と目が合ったが、大きく頷きながら、信じられないといった表情を浮かべていたのが印象的だった。
大谷は試合直前まで打撃練習を行っていたのでは
ここで、話を少し戻す。なぜ、私が試合開始5分前に記者席に到着したのかを説明したい。試合前に食事を摂っていたわけでも、グッズショップに立ち寄っていたわけでもない。午後5時19分に球場に隣接する室内打撃練習場にバットを2本持って入った大谷がいつまで経っても出てこなかったので、気になって室内練習場が見える場所で待ち続けていたのだ。
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結局、大谷が出てきたのは同5時46分。試合開始24分前まで、投手の映像が流れて投球を再現する打撃マシン「トラジェクトアーク」などで打撃練習を行っていたことが予想される。
オープン戦出場2試合目の3月2日のホワイトソックス戦では、打撃練習を試合開始40分前までで終えていたため、毎回そうではないのだろう。初戦は何かスイングで気になるところがあったのかもしれない。いずれにしろ、ギリギリまで微調整を繰り返して生み出した一発だったといえる。
その後の大谷は遊飛、空振り三振で途中交代。5回裏終了後にグラウンドから他の選手とともに、左翼奥のクラブハウスへ戻った。
オープン戦は途中交代が多い。そのため、特にホーム開催では交代直後にクラブハウスで取材が行われることが多い。この日はナイターゲーム。クラブハウスは選手でごった返し、外は暗闇のため「大谷の取材はないだろう」とか「やっぱりある」とか情報が錯綜した。最終的にはクラブハウス内で開催され、オープン戦初出場ということもあり、日米含めて番記者以外の報道陣も多く50人以上が大谷を囲んだ。
左肩の状況など質問は多岐に…肝心な“vs菊池”の感想が
今キャンプでは8日ぶり3度目の囲み取材だったこともあり、質問の話題は多岐に渡った。
先に質問した米メディアは手術した左肩の状態を問う質問が多く、続く日本メディアは「大谷選手にとって成功とは?」「まだ満足感はないか?」など哲学的な質問まで飛び出し、収拾が付かない状況になっていた。