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「まるで重量級…」27歳中谷潤人“衝撃KO”に絶賛の嵐…それでも英国人記者が満点評価をつけなかった理由は?「井上尚弥が相手なら強引に詰めなかった」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2025/02/27 17:00

「まるで重量級…」27歳中谷潤人“衝撃KO”に絶賛の嵐…それでも英国人記者が満点評価をつけなかった理由は?「井上尚弥が相手なら強引に詰めなかった」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

3度目の防衛に成功したWBCバンタム級チャンピオンの中谷潤人(27歳)。圧巻KOでプロデビューから続く連勝記録を「30」に伸ばした

DS 今後、中谷は対戦相手のレベルを上げていくことが期待されます。クエジャル戦後、IBF同級王者の西田凌佑(28歳、六島)がリングに上がり、近未来の統一戦実現を誓い合いました。西田はまだ一般的な知名度は高いとは言えませんが、エマヌエル・ロドリゲスを攻略して名を挙げたチャンピオン。西田のIBF指名戦次第で早期実現は微妙ですが、日本人同士の統一戦は盛り上がるでしょう。

TG こういった実力者同士が激突するのは素晴らしいことだし、特に中谷が以前から熱望していた統一戦に足を踏み出すことを嬉しく思います。他の国とは違い、日本のボクサーたちはビッグファイトを実現させるのに思わせぶりな態度を取ったり、交渉を無駄に長引かせたりはしません。試合後のリング上での姿を見る限り、好カードはそれほど遠くないうちに実現するのでしょう。昨今の日本リングが盛り上がっているのはこのようなマッチアップを躊躇わずに組むからだし、この統一戦も楽しみです。

DS ただ、現在の“ビッグバン”の強さと勢いを見ると、中谷対西田の統一戦はやはり中谷が断然有利と予想せざるを得ないと思います。もちろん、西田も優れた技術を持った選手であり、自信を増すとともに急速に力をつけている印象はあります。すべて日本人というバンタム級の4王者のランク付けをするなら、その4人が挙げた中ではおそらく最大の勝ち星であるロドリゲス戦での勝利と、将来性まで考慮し、私は西田を中谷に次ぐ2位に据えるかもしれません。そのWBC、IBF統一戦では西田の成長度が鍵になるのでしょう。

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TG 西田が上質なボクサーであることは間違いありませんが、私もこのカードは中谷がかなり優位だとは思います。西田の過去の試合を3〜4戦見ましたが、中谷を破るシナリオは頭に浮かんできません。前半はハイレベルに競い合うでしょうし、判定にもつれ込むことも考えられますが、ここで予想を巡らせるなら中谷の後半ラウンドでのレフェリーストップ勝ちを推します。シンプルに、中谷の方が一段上のボクサーだと思うから。

 ただ、繰り返しになりますが、このような魅力的なカードが国内で組まれ、しかもそれがボクサー自身が望んだ上で実現することが素晴らしいという考えに変わりはありません。今の日本ボクシングの盛り上がりは、選手、関係者のそういった姿勢があればこそもたらされたものなのでしょう。

DS 続いて、那須川天心の試合を振り返ってください。実力者ジェーソン・モロニーを相手に、苦しみながらも明白に勝利を手繰り寄せたのが印象的でした。

後編に続く〉

#2に続く
「何かと批判されるが…」26歳那須川天心は世界王者になれるのか? 米ボクシング専門家たちの見解「タイプは違うが、辰吉丈一郎を思い出した」

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